本記事は「2025年改正育児介護休業法シリーズ」の第25弾です。他のシリーズの記事はコチラから👉2025年育児介護休業法改正|企業がすべき対応と助成金情報
産後パパ育休・分割取得・パパ・ママ育休プラス。この3制度を組み合わせることで、男性は出生直後から1歳2ヶ月まで、キャリアを守りながら育児に深く関わることができます。
本記事では、手取り10割相当の給付金も最大限活用できる「合わせ技」の具体的なフローを解説します。
前回の記事👉柔軟な育休取得の鍵となる育児休業の分割取得|フローで解説
この記事で分かること
- 3制度を組み合わせた最強の両立戦略とは
- 手取り10割を確実に得るための取得パターン
- 出生直後から1歳2ヶ月までの具体的なフロー
- 中小企業でも使える「長期離脱リスク」を抑える方法
- 企業側の実務ポイントと通知書交付の重要性
男性育休3制度の組み合わせ完全ガイド|手取り10割を実現する方法
前々回までの記事で解説した育休制度(「産後パパ育休」「パパ・ママ育休プラス」)と、前回解説した「分割取得」を組み合わせることで、育休の活用はさらに柔軟かつ戦略的になります。
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これこそが、私が推奨する「最強の合わせ技」です。
男性育休の3制度を組み合わせるメリット|育児と仕事を両立する理由
3制度を組み合わせることで、以下の3つのメリットが得られます。
- 切れ目ない育児サポート
- 出生直後の新生児ケアから保育園入園準備まで、家庭のニーズに合わせて途切れなくサポートできます。
- 経済的メリットの最大化
- 2025年4月からの給付金拡充により、夫婦がともに一定期間育休を取得すると手取り10割相当の給付金が受けられます。
- この合わせ技はその条件を満たしやすく、育休中の経済的な不安を大きく軽減できます。
- 柔軟なキャリア形成
- 職場の状況やキャリアプランに合わせて取得タイミングを選べるため、仕事と育児を無理なく両立できます。結果として、従業員の定着率向上にもつながります。
2025年4月からの育児休業給付金拡充に関する記事


男性育休「合わせ技」実例と取得フロー
この合わせ技を成功させる鍵は事前計画です。
いつ・どちらが・どのくらい取得するかを、各制度の条件を踏まえて従業員と早めに話し合いましょう。
例1|出生直後と1歳以降に分けて取得する基本パターン(経済的メリットも考慮)
男性が複数回育休を取得することで、新生児ケアと保育園入園前の両方をサポートできます。
夫婦で育休を取得するため、手取り10割相当の給付金の条件も満たしやすいパターンです。
フロー
| ステップ | 誰が | 制度 | 時期・期間 | 目的 |
|---|---|---|---|---|
| ➀ | 夫 | 産後パパ育休 | 出生直後〜2週間 | 新生児ケア・手取り10割を狙う |
| ➁ | 妻 | 通常育休 | 出産後〜子が1歳まで | 育児専念 |
| ➂ | 夫 | 通常育休 | 子が1歳になる1ヶ月前から | 育児バトンタッチ |
| ➃ | 夫妻 | パパ・ママ育休プラス | 子が1歳〜1歳2ヶ月まで | 保育園入園準備 |
メリット
- 手取り10割相当の給付金を狙いやすい。
- 出生直後から男性が育児に参加できる。
- 保育園入園の遅れにも柔軟に対応できる。
- 育児負担が一方に集中するのを防げる。
例2|夫婦で育休制度をフル活用し、きめ細やかな育児とキャリアを両立する戦略パターン
このパターンは、夫が産後パパ育休(2回・合計最大28日)と通常育休(2回)、妻が通常育休(2回)をフル活用し、新生児期から1歳以降まで切れ目なく育児に関わることを目指します。
フロー
| ステップ | 誰が | 制度 | 時期・期間 | 目的 |
|---|---|---|---|---|
| ➀ | 夫 | 産後パパ育休① | 出生〜2週間 | 新生児ケア・妻のサポート |
| ➁ | 妻 | 通常育休① | 産後2〜6ヶ月 | 生活リズムの確立 |
| ➂ | 夫 | 産後パパ育休➁ | 出生後8週間以内・1週間 | ピンポイントサポート |
| ➃ | 夫 | 通常育休① | 産後6〜8ヶ月 | 育児バトンタッチ |
| ➄ | 妻 | 通常育休② | 子8〜11ヶ月 | 離乳食期のサポート |
| ➅ | 夫 | 通常育休②+パパ・ママ育休プラス | 子11ヶ月〜1歳2ヶ月 | 保育園準備・慣らし保育 |
※夫婦の育休が重なるタイミングでは、手取り10割相当の給付金が適用される可能性があります。従業員への説明時にあわせて案内しましょう。
ポイント
- 最大限の柔軟性
- 夫は「産後パパ育休」の2回(合計最大4週間⦅28日⦆以内)と「通常の育休」の2回(回数制限内で柔軟に分割)を取得出来ます。
- 妻は「通常の育休」の2回を取得できます。
- これにより新生児期から1歳以降まで、途切れなく育児サポートが可能です。
- 戦略的な育児分担
- 子どもの成長段階や夫婦のキャリアプランに合わせて、育休のタイミングを計画的に分散・集中させることができます。
- 企業への影響分散
- 育休を細かく分割することで、一度の長期離脱による業務への影響を抑え、引き継ぎや人員配置の調整もしやすくなります。
留意点
- 綿密な計画と企業への相談
- 複雑な育休取得ほど、夫婦間の事前計画と人事・総務部門との早めの相談が不可欠です。
- 各取得期間のルール厳守
- 各制度の回数・期間のルールを正確に把握しておきましょう。
- 通常育休は2回まで、産後パパ育休は出生後8週間以内に最大28日までです。
- 給付金申請の手間
- 取得回数が多いほど給付金の申請も複数回必要になります。
- 申請漏れが起きないよう、取得スケジュールと申請スケジュールを同時に管理しましょう。
企業が押さえるべき男性育休運用の実務ポイント|複数制度のスムーズな運用方法
複数制度が絡む合わせ技は、企業側の対応次第でスムーズにも複雑にもなります。以下の4つのポイントを押さえておきましょう。
申請手続きの複雑化への対応
複数制度が絡む分、従業員が手続きに戸惑うケースが増えます。
申請フローを図解したガイドやQ&Aを事前に用意し、人事・総務部門がサポートできる体制を整えましょう。
育児休業給付金申請のサポート
従業員が経済的な不安なく育休を取得できるよう、給付金申請のサポート体制を整えましょう。
必要書類のリストアップとハローワークとの連携を事前に準備しておくことが重要です。
休業中の業務体制の構築
- 育休中の業務を滞らせないため、代替要員の確保と引き継ぎの徹底を計画的に進めましょう。業務の属人化を解消するマニュアル整備も合わせて進めておくと安心です。
- 育休に関する規定を就業規則に明記し、変更があれば速やかに更新しましょう。また育休取得者への「育児休業取扱通知書」の交付は法律上の義務です。適切に交付することで双方の誤解を防ぎ、スムーズな運用につながります。
育児休業取扱通知書とは、従業員から育休の申し出があった際に会社が交付する書類で、育児介護休業法で義務付けられています。
開始・終了予定日の明記が必須で、給付金・社会保険・復帰後の労働条件なども合わせて通知することで、従業員の不安解消とトラブル防止につながります。記載事項の詳細は以下をご覧ください。
絶対に通知しなければならない内容(法律上の義務)
これは、育児介護休業法の施行規則で会社に通知が義務付けられている項目です。これらの事項を適切に書面で通知しない場合、会社は法律違反となります。
- 育児休業(または産後パパ育休)の申し出を受けたこと
- 従業員からの育休の申し出を会社が正式に受け付けた、という事実の通知です。
- 育児休業(または産後パパ育休)の開始予定日と終了予定日
- 従業員がいつから育休に入り、いつ職場に戻る予定なのかを明確に伝えます。
- もし育児休業の申し出を拒否する場合、その旨と理由
- (特別な事情があり、育休の申し出を拒否できる場合に限りますが)拒否する際は、その理由も具体的に通知する必要があります。
通知が推奨される内容(従業員の安心とトラブル防止のため)
これらは法律で通知が義務付けられているわけではありませんが、従業員が安心して育休を取得し、スムーズに職場復帰するために、会社が積極的に伝えるべき非常に重要な情報です。
これを通知しないことで、従業員との間で誤解が生じたり、不安を与えたりする可能性があります。
- 休業期間中の給与の取り扱い
- 育休中は基本的に給与は支払われないこと、または会社から独自の手当がある場合はその旨を明確に伝えます。
- 社会保険料の取り扱い
- 育休中は社会保険料(健康保険、厚生年金保険)が従業員負担分・会社負担分ともに免除されることなどを説明します。
- 育児休業給付金について
- 育児休業給付金の申請手続きや、給付金を受け取れる可能性があることなどを案内し、従業員が経済的な不安なく育休を過ごせるようサポートします。
- 休業中の連絡方法や連絡の頻度
- 休業中に会社から連絡が必要な場合(例:重要な業務連絡、社内制度変更の通知など)の連絡方法や、従業員から会社への連絡方法を定めておくと、双方にとって安心です。
- 職場復帰後の労働条件(配属先、業務内容、勤務時間、給与など)
- 育休後、従業員が安心して復帰できるよう、復帰後の部署、業務内容、給与や勤務時間などがどうなるのか、可能な範囲で具体的に伝えます。
- 育児のための短時間勤務制度など、関連制度の案内
- 育休後も利用できる短時間勤務制度や子の看護休暇など、育児支援のための社内制度を合わせて案内することで、従業員は復帰後の働き方を具体的にイメージしやすくなります。
これらの情報を通知書に含めることで、会社は法律上の義務を果たすだけでなく、従業員に対する配慮を示し、結果的に従業員の満足度向上や離職防止にも繋がります。
まとめ|男性育休「合わせ技」で企業と従業員の両立支援を最大化
本記事では、産後パパ育休・分割取得・パパ・ママ育休プラスの3制度を組み合わせた「合わせ技」の具体的なフローを解説しました。
育休制度は複雑に見えますが、使いこなせば子育てとキャリアを両立する強力なツールになります。
分割取得により従業員は柔軟に育児参加でき、企業は業務影響を分散できます。さらに合わせ技により、出生直後から保育園入園まで切れ目のないサポートが実現します。
従業員の満足度向上と定着率改善は、企業の持続的な成長に直結します。
制度を最大限に活用してもらうには、従業員への早めの情報提供と、人事・総務部門による個別サポートが不可欠です。
本記事のフローや事例を、社内制度設計や従業員への説明資料としてぜひご活用ください。
次回予告|男性育休「合わせ技」の申請手順と書類準備を徹底解説
次回は、今回の記事でご紹介した男性育休の「合わせ技」を実際に活用する際に、企業側と従業員側がそれぞれどのような手続きを行い、どんな書類を準備する必要があるのかを、時系列で詳しく解説します。
複雑に思われがちな育休の申請プロセスなど、実践的な側面からスムーズな運用をサポートする情報をお届けする予定です。
中小企業の人事担当者の方は、ぜひ次回の記事を参考にしてください。
次回の記事は👉男性育休ガイド|産後パパ育休と育児休業の組み合わせ注意点解説
最後までお読みいただきありがとうございました。ご相談の際は、以下よりお気軽にお問い合わせください。☟
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- 執筆者|社会保険労務士 戸塚淳二(社会保険労務士登録番号|第29240010号)
- 日々、企業の「ヒト」と「組織」に関わる様々な課題に真摯に向き合っています。労働法の基本的な知識から、実務に役立つ労務管理の考え方や人事制度の整え方まで、専門家として確かな情報を初めての方にもわかりやすくお伝えします。

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