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柔軟な働き方を実現するための措置とは|3歳から小学校就学前の子を養育する労働者への企業の義務

3歳からの育児と仕事 2025年改正育児介護休業法
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前回の記事では、3歳未満の子を養育する労働者のテレワークについて、努力義務と短時間勤務制度の代替措置の違いを整理しました。👉3歳未満のテレワーク努力義務|代替措置との違いと企業の実務対応

子どもが3歳を過ぎても、仕事と育児の両立の悩みは続きます。

そこで、2025年10月1日から、育児・介護休業法第23条の3により、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者について、事業主に「柔軟な働き方を実現するための措置」を講ずる義務が定められています。

この措置は、事業主が5つの措置から2つ以上を用意し、労働者がその中から1つを選んで利用する仕組みです。テレワークは、5つの措置の1つです。

3歳未満の努力義務とは、対象年齢も義務の重さも異なります。

この記事で分かること

  • 柔軟な働き方を実現するための措置の対象と、事業主の義務の内容
  • 5つの措置の内容と、それぞれの要件
  • 事業主が措置を用意するときのポイント
  • 個別の周知・意向確認、意向聴取・配慮と、就業規則で確認したいポイント

措置の全体像|5つから2つ以上を用意します

まず、誰に対して、何を講ずる義務なのかを整理します。

対象と義務の内容

この制度は、2つの段階に分けると分かりやすくなります。

段階誰が何をするか数
① 用意する事業主5つの措置の中から、用意する措置を選びます2つ以上
② 利用する労働者事業主が用意した措置の中から、利用する措置を選びます1つ

①事業主が措置を用意します。

事業主は、職場のニーズを把握した上で、5つの措置の中から2つ以上を選んで講ずる義務があります。

ちょうど2つでなくてもかまいません。3つ以上用意することもできます。

措置を用意するときは、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は過半数代表者)の意見を聴く機会を設けなければなりません。

②労働者が利用する措置を選びます。

労働者は、事業主が用意した措置の中から、1つを選んで利用します。

たとえば、事業主が「テレワーク等」と「養育両立支援休暇」の2つを用意したなら、労働者は、そのどちらか1つを選んで利用します。

テレワークは、5つの措置の1つにすぎません。事業主は、テレワークを用意しなくても、ほかの措置を2つ以上用意すれば、義務を果たせます。

労使協定を結べば、継続雇用1年未満の労働者や、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者を、対象から除外できます。

3歳未満との違い

3歳未満の子には、短時間勤務制度が義務づけられています。

そのなかで、テレワークは、努力義務や代替措置のメニューとして登場しました。

3歳以降は、この「柔軟な働き方を実現するための措置」が中心になります。

対象年齢、義務の重さ、テレワークの位置づけの違いは、前の記事の比較表で確認できます。👉3歳未満のテレワーク努力義務|代替措置との違いと企業の実務対応

なお、所定外労働の制限(残業免除)は、2025年4月1日から、小学校就学前の子を養育する労働者が請求できます。この措置とは別の義務で、同時に請求することもできます。

5つの措置の内容と要件

事業主が用意できる5つの措置は、次のとおりです。

措置内容と要件
① 始業時刻等の変更フレックスタイム制、または、1日の所定労働時間を変えずに始業・終業の時刻を繰り上げ・繰り下げる制度(時差出勤)です。保育所への送迎の便宜等を考慮した制度である必要があります
② テレワーク等1日の所定労働時間を変更せずに利用でき、始業の時刻から、または終業の時刻まで連続して、時間単位で利用できる内容とする必要があります。利用日数は、1週間の所定労働日数が5日の労働者で、1か月につき10労働日以上です(5日以外の労働者は、所定労働日数に応じた日数以上)。実施場所は、自宅を基本に、自宅に準ずる場所として就業規則などで定める場所(サテライトオフィス等)を含みます
③ 保育施設の設置運営等保育施設の設置運営、その他これに準ずる便宜の供与(ベビーシッターの手配と費用負担)です。設置運営は、ほかの事業主が行い、その費用を負担する場合も含みます
④ 養育両立支援休暇の付与1日の所定労働時間を変更せずに利用でき、1年間に10労働日以上、時間単位で利用できる休暇です。失効した年次有給休暇の積立を、この休暇として措置することもできます
⑤ 短時間勤務制度1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含む制度です

時間単位で利用できる時間を数えるときの「1労働日」は、1日の所定労働時間数です。

日によって所定労働時間が異なる場合は、1年間の1日平均所定労働時間数とし、1時間未満の端数は1時間に切り上げます。

テレワーク等を用意する場合のポイント

テレワーク等は、5つのうちの1つです。

用意しなくても、ほかの措置を2つ以上用意すれば、義務を果たせます。用意する場合は、上の要件を満たす必要があります。

3歳未満のテレワーク(努力義務、代替措置)には、法令上、内容や頻度の基準がありません。この点が大きく異なります。

対象業務の決め方、労働時間の把握、申請の流れなど、テレワークの運用の進め方は、前の記事で整理しています。👉3歳未満のテレワーク努力義務|代替措置との違いと企業の実務対応

事業主が措置を用意するときのポイント

2つ以上を用意するといっても、会社全体で一律に決める必要はありません。

事業所や職種ごとに用意できます

措置は、企業単位だけでなく、事業所単位、事業所内のライン単位、職種ごとに用意しても差し支えありません。

職場の実情に合わせて、組み合わせを変えることが望ましいとされています。

利用できない措置では、義務を果たしたことになりません

労働者の職種や配置などから、利用できないことがあらかじめ分かっている措置を用意しても、事業主が措置の義務を果たしたことにはなりません。

たとえば、テレワークが難しい職種の労働者には、テレワーク等を用意しても利用できません。事業所や職種ごとに、実際に利用できる措置の組み合わせを考えましょう。

よくある疑問

  • すでに1日6時間以下で働くパート労働者は、短時間勤務制度を措置したことになりますか?
    • いいえ。1日の所定労働時間が6時間以下であることだけで、短時間勤務制度を措置したことにはなりません。事業主は、5つの選択肢から2つ以上を用意する義務があります。
  • シフト制の労働者にも、適用されますか?
    • はい、対象になります。たとえば、交替制勤務(早番・遅番)の労働者が、早番勤務のみを希望できる措置は、「始業時刻等の変更」を措置したことになります。
  • 養育両立支援休暇に、子の養育以外の用途を含めてもよいですか?
    • 労働者が希望すれば、年10日を、就業しつつ子を養育することに資する目的で利用できることが担保されていれば、差し支えありません。
    • 措置の申出や利用を理由とする不利益な取扱いは、禁止されています。

個別の周知・意向確認と、意向聴取・配慮

措置を用意するだけでなく、労働者に伝え、意向を聞く義務も、2025年10月1日から始まっています。

柔軟な働き方措置の個別周知・意向確認

事業主は、3歳に満たない子を養育する労働者に対して、子が3歳になる前の適切な時期に、選んだ措置に関する周知と、利用の意向の確認を、個別に行わなければなりません。

時期の目安は、子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間です(1歳11か月に達する日の翌々日から、2歳11か月に達する日の翌日まで)。

周知する事項は、次の3つです。

  • 事業主が用意した措置(2つ以上)の内容です。
  • 措置の申出先です(例:人事部など)。
  • 所定外労働の制限(残業免除)、時間外労働・深夜業の制限に関する制度です。

方法は、面談(オンライン面談も可。音声のみの通話は含まれません)、書面の交付、FAX、電子メール等のいずれかです。FAXと電子メール等は、労働者が希望した場合に限ります。

目的は、措置の申出が円滑に行われるようにすることです。利用を控えさせるような言動をしてはいけません。たとえば、申出をしないよう抑制する、申し出た場合の不利益をほのめかす、利用の前例がないことをことさらに強調する、といったことです。

個別の意向聴取・配慮

あわせて、事業主は、労働者本人または配偶者の妊娠・出産等の申出があったときと、子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間に、仕事と育児の両立に関する意向を、個別に聴取しなければなりません。

聴取する事項は、勤務時間帯、勤務地、両立支援制度等の利用期間、仕事と育児の両立に資する就業の条件(業務量、労働条件の見直し等)です。

聴取した意向は、自社の状況に応じて配慮します。

必ずしも、意向どおりにする義務ではありません。ただし、意向に沿った対応が難しい場合は、その理由を丁寧に説明することが大切です。

育児休業制度そのものの個別の周知・意向確認(2022年4月から)は、別の義務です。→【関連記事候補:育児休業制度の周知・意向確認】

就業規則の整備|用意した措置を規程に反映します

用意した措置は、就業規則(育児・介護休業規程)に定めて、労働者に周知します。

厚生労働省が公開している「育児・介護休業等に関する規則の規定例[簡易版]」は、令和7年4月1日・10月1日施行に対応した内容で、ひな形として使えます。

対象者を、継続雇用1年未満の労働者などに限定する場合は、労使協定を結びます。労使協定は、労働基準監督署への届出は不要です。

一方、就業規則を変更した場合、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、所轄の労働基準監督署への届出が必要です。

柔軟な働き方を実現するための措置を講ずるには、自社に合った制度の選択と就業規則の整備が必要です。

どの措置を選べばよいか、就業規則をどう変更すればよいかお悩みの経営者・担当者の方は、お気軽にご相談ください。👉 就業規則の作成・見直しはこちら(ココナラ)

まとめ|選ぶ措置と、伝え方の両方を整えます

2025年10月1日から、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者について、事業主は、5つの措置から2つ以上を用意する義務があり、労働者は、その中から1つを選んで利用します。

テレワークは、5つの措置の1つで、必ず用意する必要はありません。

用意する場合は、月10労働日以上、時間単位などの要件があります。

大切なのは、措置を用意することだけでなく、利用できる職種があるかを確かめ、個別に周知し、意向を聞くことです。まずは、自社の職種ごとに、現実に使える措置が2つ以上あるかを確認してみてください。

出典・参考資料

戸塚淳二
この記事を書いた人
  • 執筆者|社会保険労務士 戸塚淳二(社会保険労務士登録番号|第29240010号)
  • 日々、企業の「ヒト」と「組織」に関わる様々な課題に真摯に向き合っています。労働法の基本的な知識から、実務に役立つ労務管理の考え方や人事制度の整え方まで、専門家として確かな情報を初めての方にもわかりやすくお伝えします。

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