本記事は「2025年改正育児介護休業法シリーズ」の第28弾です。他のシリーズの記事はコチラから👉2025年育児介護休業法改正|企業がすべき対応と助成金情報
前回の記事では育児休業給付金の申請手続きと支給フローを解説しました。
前回の記事は👉育児休業給付金の申請フローガイド|分割取得時の給付条件と期限を解説
本記事では育休中の家計を守るもう一つの柱である「社会保険料の免除」について、人事担当者向けに解説します。
この記事で分かること
- 健康保険料・厚生年金保険料が本人分・会社分ともに全額免除になる仕組み
- 免除期間中も将来の年金受給額に影響しない点と従業員への案内ポイント
- 月末時点要件と同月内14日以上要件の違いと具体的な適用条件
- 賞与の保険料免除に必要な「月末にかかること」と「1ヶ月超の育休期間」
- 分割取得の場合も要件を満たせば都度免除が適用される点
育休中の社会保険料免除とは?|人事担当者が押さえるべき制度の概要
毎月の給与から差し引かれる健康保険料や厚生年金保険料は、育休中は免除されます。
育児休業給付金が「収入の確保」である一方、社会保険料免除は「支出の削減」という側面から従業員の経済的負担を軽減します。
人事担当者として制度の仕組みを正確に把握しておきましょう。
制度の概要|健康保険料・厚生年金保険料の免除内容
育児休業期間中は健康保険料と厚生年金保険料が、従業員本人負担分・会社負担分ともに全額免除されます。
産後パパ育休・通常育休・パパママ育休プラスのいずれを取得した場合でも適用されます。
免除期間中も健康保険は通常通り利用でき、厚生年金保険については保険料を支払った期間と同様に将来の年金受給額に反映されます。
従業員への案内時にこの点を伝えることで、免除に対する不安を解消できます。
月々の給与にかかる社会保険料の免除条件
月々の給与から徴収される社会保険料の免除条件は以下の2つです。従業員への説明時に正確に案内できるよう把握しておきましょう。
- 月末時点要件
- 育児休業の開始月から、終了月の前月までの期間。
- ただし、育児休業終了日が月の末日である場合は、その月も免除。
- 同月内14日以上要件
- 月の途中で育児休業が開始・終了し、月末に育休をしていない場合でも、同一月内で14日以上育児休業を取得していれば、その月は免除。
具体例1
- 9月15日に育休を開始し、10月29日に終了した場合
- 9月(育休開始月)
- 月末に育休中のため、9月分の保険料が免除。(要件1-❶)
- 10月(育休終了月)
- 月末に育休が終了しているため、10月分の保険料は発生。(要件1-❶)
- 免除対象
- 9月分のみ
- 9月(育休開始月)
具体例2
- 9月1日に育休を開始し、9月30日に終了した場合
- 9月(育休開始・終了月)
- 月末に育休中のため、9月分の保険料が免除。(要件1-❷)
- 免除対象
- 9月分のみ
- 9月(育休開始・終了月)
※社会保険料の免除が適用されるのは、育休開始月から育休終了月の前月までが基本です。ただし育休終了日が月末の場合はその月も免除となります。(要件1-❷)
従業員からの問い合わせが多いポイントのため、事前に案内しておきましょう。
具体例3(産後パパ育休)
- 9月14日に育休を開始し、9月28日に終了した場合
- 9月(育休開始・終了月)
- 当該月(9月)中に14日以上(9月14日~9月28日の15日間)の育児休業を取得しているため、9月分の社会保険料は免除。(要件2-❶)
- 免除対象
- 9月分
- 9月(育休開始・終了月)
※短期間の育休で月の途中に終了していても、当該月中に14日以上の育児休業を取得していれば免除が適用されます。9月14日〜9月20日の7日間の取得であれば要件2-❶に該当しないため免除は適用されません。従業員への説明時に合わせて案内しておきましょう。
具体例4(産後パパ育休)
- 9月25日に育休を開始し、10月3日に終了した場合
- 9月(育休開始月)
- 月末(9月30日)に育休中のため、9月分の保険料が免除。(要件1-❶)
- 10月(育休終了月)
- 月末(10月31日)には育休が終了しているため、10月分の保険料は発生。(要件1-❶)
- 免除対象
- 9月分のみ
- 9月(育休開始月)
月々の社会保険料免除の要件は以下の2点です。従業員への説明時にこの2点を軸に案内しましょう。
- 月末時点要件
- 育児休業を開始した月や終了する月において、月末時点で育児休業をしていること。
- 同月内14日以上要件
- 月の途中で育児休業が開始・終了し、月末に育児休業をしていない場合でも、同一月内で14日以上育児休業を取得していること。
これらの免除要件を従業員に事前に案内し、育休期間の計画をサポートしましょう。
賞与にかかる社会保険料の免除条件
賞与にかかる社会保険料の免除要件は以下の通りです。月々の給与とは要件が異なるため、従業員への案内時に混同しないよう注意しましょう。
- 賞与が支給された月の末日を含む育休を取得し、かつその育休期間が1ヶ月を超える場合
具体例1
- 6月30日から7月25日まで(26日間)育休を取得し、7月20日に賞与が支給された場合
- 「賞与が支給された月の末日(この場合は7月31日)に育児休業中であり、かつ育児休業期間が1か月を超える」という要件を満たしていません。
- したがって、免除されません。
具体例2
- 7月1日から8月10日まで(41日間)育休を取得し、7月20日に賞与が支給された場合
- 賞与支給月の7月の末日である7月31日に育児休業を取得しており、尚且つ育児休業等の期間が1か月を超えています。
- したがって、免除されます。
具体例3
- 7月1日から8月10日まで(41日間)育休を取得し、8月20日に賞与が支給された場合
- 育児休業等の期間が1か月を超えていますが、賞与支給月の8月の末日である8月31日に育児休業を取得していないため、要件を満たしていません。
- したがって、免除されません。
複数制度を組み合わせた分割取得の場合の社会保険料免除
育休を分割取得した場合でも、それぞれの育休期間において以下の要件を満たせば社会保険料免除の対象となります。
- 月ごとの免除要件
- 月末に育休を取得していること
- 賞与の免除要件
- 同月内に連続して14日を超える育休を取得していること
これらの要件は2025年改正後も継続して適用されます。従業員への案内時に合わせて伝えておきましょう。
2025年改正育児介護休業法での変更点
育児休業中の社会保険料免除制度については2025年改正においても大きな変更点はありません。
従来の要件が引き続き適用されるため、既存の運用を継続して問題ありません。
まとめ|育児休業中の社会保険料免除で押さえるべき実務ポイント
本記事では育児休業中の社会保険料免除制度について解説しました。
- 月々の社会保険料
- 月末に育休中である場合、または同月内で14日以上の育休を取得した場合に免除されます。
- 免除期間中も将来の年金受給額に影響しない点を従業員に案内しておきましょう。
- 賞与にかかる社会保険料
- 賞与月の末日を含んで1ヶ月を超える育休期間がある場合に免除されます。
これらの要件を正確に把握し、従業員への事前案内と適切な運用を進めましょう。
次回予告|社会保険料免除の具体的手続きと必要書類を徹底解説
次回は社会保険料免除の具体的な申請手続きと必要書類について解説します。
企業側の手続きの流れと従業員への案内方法に役立つ情報をお届けします。
次回の記事は👉育児休業中の社会保険料は免除?手続き方法・必要書類を徹底解説
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- 執筆者|社会保険労務士 戸塚淳二(社会保険労務士登録番号|第29240010号)
- 日々、企業の「ヒト」と「組織」に関わる様々な課題に真摯に向き合っています。労働法の基本的な知識から、実務に役立つ労務管理の考え方や人事制度の整え方まで、専門家として確かな情報を初めての方にもわかりやすくお伝えします。

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