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【2025年対応】育児休業制度の周知・意向確認| 就業規則・育児休業規程の実務ガイド

周知・意向確認における就業規則・育児休業規程 2025年改正育児介護休業法
周知・意向確認における就業規則・育児休業規程
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本記事は「2025年改正育児介護休業法シリーズ」の第18弾です。他のシリーズの記事はコチラから👉2025年育児介護休業法改正|企業がすべき対応と助成金情報

2025年の育児介護休業法の改正により、企業は育児休業制度の周知と意向確認の徹底が義務付けられています。

この改正は、特に中小企業にとっては大きな影響を与えるものです。

今回は、中小企業の現場で実際に求められる対応や、就業規則の整備方法、育児休業規程の作成ポイントについて解説します。

2025年改正育児介護休業法|中小企業が押さえるべき改正ポイント

今回記事では、改正後の実務対応に焦点を当てて解説を進めていきます。

育児休業制度改正対応の具体策|周知・意向確認と就業規則整備

育児休業の周知・意向確認の強化に対応するためには、まず就業規則の見直しが欠かせません。

就業規則の中では基本的なルールのみ記載し、具体的な運用手順やフローは育児休業規程に落とし込むことで、柔軟な対応が可能になります。

今回は特に「就業規則の整備方法」と「育児休業規程の作成ポイント」にフォーカスして解説します。

育児休業制度の周知・意向確認に対応した就業規則の作り方

  1. 現行規則の確認
    • 現在の就業規則に育児休業の周知や意向確認に関する規定があるか確認します。
  2. 法改正への適合
    • 2025年改正内容に基づき、不足している箇所や曖昧な記述を洗い出します。
  3. 具体的な運用方法の明記
    • 意向確認の実施時期や手順について、明確な記載が求められます。

基本的に現行の就業規則がある場合は、その内容確認を行うことが当然第一歩になります。

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就業規則に盛り込むべき項目一覧

育児休業の周知・意向確認の強化に対応するためには、就業規則の整備が重要です。

ただし、どこまでを就業規則に記載するかは、育児休業規程の有無によって異なります。

就業規則のみで対応する場合

就業規則の中に、育児休業の基本的なルールから申請手続き、意向確認の流れ、記録管理までを一貫して盛り込みます。

この場合、具体的な手続きの詳細も記載する必要があります。

特に中小企業の場合、個別の規程を作らないケースも多いため、就業規則の中で確実に網羅することが求められます。

育児休業の取得要件

誰が対象となるか、パートや契約社員も含まれるかを明確に記載します。

例|「育児休業は、当社に1年以上勤務している従業員(正社員、週20時間以上の契約社員)を対象とする」など

申請手続きの流れ

申請書の提出期限や承認プロセスを具体的に示します。

例|「育児休業の申請は出産予定日の2か月前までに申請書を提出すること。提出後、管理部門は内容を確認し、1週間以内に承認または否認の通知を行う」など

意向確認の実施方法

どのタイミングで意向確認を行い、どのような方法で記録するかを具体的に明記します。

例|「意向確認は、出産予定日の3か月前および1か月前に個別面談を実施し、結果は書面に残す。書面は本人と管理者が署名し、3年間保管する」など

記録の管理方法

書面の保存期間や電子データの管理ルールも詳細に定める必要があります。

例|「意向確認や育児休業申請に関連する書面は、社内システムに5年間保存し、退職後も一定期間管理する」など

ポイント

就業規則のみで対応する場合、法的要件を満たすだけでなく、具体的な運用手順まで細かく記載することが求められます。

不備があると法令違反やトラブルの原因となるため、特に注意が必要です。

就業規則と育児休業規程を分ける場合

就業規則には基本的な枠組みのみを記載し、詳細な運用手続きやフローは育児休業規程として別途作成します。

就業規則の記載例(育児休業規程を設ける場合)

第○条(育児休業の取得)

  1. 当社は従業員が育児を行うために、育児・介護休業法に基づき育児休業を取得できるものとする。
  2. 育児休業の取得要件、申請手続き、意向確認の実施方法、復職手続きについては、別途定める「育児休業規程」による

第○条(育児休業の周知および意向確認)

  1. 会社は、育児休業に関する制度の周知および従業員の意向確認を行うものとする。
  2. 意向確認の具体的な手続きについては「育児休業規程」に記載する

このように就業規則の中で「育児休業規程に基づく」と記載することで、詳細な運用手順については個別の規程で管理できます。これには以下のメリットがあります。

メリット
  1. 規程の分離で改訂が容易
    • 法改正や運用の見直しが発生した場合、就業規則そのものを変更せずに、育児休業規程のみを改訂できます。
  2. 運用ルールの明確化
    • 育児休業規程に詳細な手順を明示することで、従業員も迷わず手続きを進められます。
  3. 文書管理がシンプル
    • 就業規則は基本ルールに絞り込み、育児休業規程で具体的な手続きをまとめることで、内容が分かりやすくなります。

育児休業規程の具体例と作成手順|周知・意向確認・復職支援を明確化

育児休業規程に記載すべき主な項目は以下の通りです。

  1. 目的
  2. 対象者
  3. 育児休業の取得要件
  4. 申請手続き
  5. 意向確認の実施
  6. 周知義務
  7. 通知方法
  8. 休業中の待遇
  9. 記録の管理
  10. 復職手続き
  11. 禁止事項
  12. 規程の改定
  13. 附則

これらの項目を明文化することで、法令に準拠した対応が可能になります。

中小企業向け|育児休業規程に盛り込むべき条文例

それでは、一部具体例として、育児休業規程では次のような形で記載しましょう。

(目的)第1条

本規程は、従業員の育児休業の取得に関する手続き、意向確認、復職支援の詳細を定める。

(対象者)第2条

育児休業の対象は、当社で勤務する正社員、パートタイム労働者、契約社員とする。

(申請手続き)第3条

  1. 育児休業を希望する者は、出産予定日の2か月前までに「育児休業申請書」を提出する。
  2. 申請書には、取得希望期間、復職予定日、配偶者の育児休業取得予定の有無を記載する。

(意向確認の実施)第4条

  1. 意向確認は、育児休業開始予定日の3か月前および1か月前に実施する。
  2. 面談または書面通知により、休業期間、復職時期、勤務形態について確認を行う。

(記録の管理)第5条

  1. 育児休業に関する書類は電子データで管理し、少なくとも5年間保管する。
  2. 記録へのアクセスは人事部が管理し、情報漏洩に注意する。
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第6条(復職手続き)

  1. 職予定日の1か月前までに、復職意思の確認を行う。
  2. 要に応じて、時短勤務やテレワークなどの希望を確認する。

まとめ|2025年改正育児休業法に対応した就業規則・規程整備のポイント

2025年改正育児・介護休業法に対応するためには、就業規則の整備だけでなく、育児休業規程を併せて作成することが重要です。

本記事で解説したように、対象者の明確化、申請手続きのフロー、意向確認の実施・記録管理、復職支援までを具体的に定めることで、法令遵守と円滑な運用を両立できます。

特に中小企業では、規程を分けて管理することで改訂が容易になり、従業員が迷わず手続きを進められる環境を整えることが可能です。

本記事を参考に、法改正への対応を計画的に進めることで、トラブルの未然防止や育児休業取得率の向上に直結する実務運用が実現できます。

次回予告|育児休業取得促進のための実務対応と具体策

次回の記事は「取得促進のための具体的措置」「取得意向確認後のアクション義務」「取得率向上のための文化的な推進」を中心に、育児休業の実効性を高めるための取り組みに焦点を当てていきます。

次回の記事は👉【2025年対応】育休の周知・意向確認から 「育休取得」へ|企業担当者必須の実務

企業がどのように育児休業の取得を促進し、実際に制度が活用される文化を築いていけるのか、その具体策を明確に解説していきます。

育児休業の周知・意向確認は、単なる手続きではなく、育児休業の取得率を向上させ、働きやすい環境を実現するための重要な一歩です。次回もぜひお楽しみにしてください。

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筆者 戸塚淳二
筆者 戸塚淳二

執筆者|社会保険労務士 戸塚淳二(社会保険労務士登録番号|第29240010号)

日々、企業の「ヒト」と「組織」に関わるさまざまな課題に真摯に向き合っています。労働法の基本的な知識から、実務に役立つ労務管理の考え方や人事制度の整え方まで、専門家として確かな情報を、はじめての方にもわかりやすく、やさしくお伝えします。

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