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介護離職防止支援コース|助成金活用の実践事例と申請方法を徹底解説

介護離職防止支援コース|助成金活用事例 2025年改正育児介護休業法
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社会保険労務士 戸塚淳二

執筆者:社会保険労務士 戸塚淳二

法改正対応のスペシャリスト。戸塚淳二社会保険労務士事務所 代表として、多岐にわたる労働関連法規の解説から、実践的な労務管理、人事制度設計、助成金活用まで、企業の「ヒト」と「組織」に関する課題解決をサポートしています。本記事では、事業主の皆さまが安心して法改正に対応できるよう、専門家の視点から最新情報をお届けします。

社会保険労務士登録番号:第29240010号

本記事は「2025年改正育児介護休業法シリーズ」の第48弾です。他のシリーズの記事はコチラから👉社労士ブログ 記事一覧 労務管理・育児介護法/最新記事まとめ

今回は、「介護離職防止支援コース」をテーマにした前回の記事の続編です。

前回の記事では、介護離職という社会的な課題に対し、国が企業を支援する助成金の概要と支給金額について解説しました。

前回の記事は👉介護離職を防ぐ!中小企業向け「介護離職防止支援コース」助成金ガイド

しかし、この助成金は「知っている」だけで終わってしまっては意味がありません。

実際に従業員が安心して働き続けられる環境を整え、助成金という国の支援を確実に受け取るためには、制度を「活用できる」ようになる必要があります。

この記事では、介護離職防止支援コースを「机上の空論」で終わらせないための「実践編」として、申請をスムーズに進めるための具体的な方法を解説します。

この記事を読めば、あなたの会社も制度の正しい活用方法を理解し、大切な従業員を守るための一歩を踏み出せるはずです。

介護離職防止支援コースを事例で解説|中小企業B社の実践方法

ここでは、実際に「介護離職防止支援コース」を成功させた中小企業B社の事例を見ていきましょう。

※以下の事例は、助成金活用の流れを分かりやすくするためのモデルケースです。実際の企業名や人物とは関係ありません。

B社は、顧客向けのソフトウェア開発を手掛ける従業員30人規模のITソリューション企業です。

プロジェクトごとにチームを編成し、少数精鋭で業務を遂行していました。

そんな中、2025年8月20日、主任としてチームを牽引してきたAさん(45歳、女性)から、親の介護が必要になり、改正育児介護休業法に基づく介護休業を取得したいとの相談がありました。

Aさんは、顧客との要件定義から開発進捗管理まで、プロジェクトの核となる業務を担っています。

そのため、Aさんが長期間不在となることは、プロジェクトの遅延や顧客満足度の低下に直結する深刻な課題でした。

B社は、貴重な人材であるAさんの離職を防ぎつつ、事業を円滑に継続させるため、「介護離職防止支援コース」の活用を決断。

Aさんの休業期間中、業務を円滑に引き継ぐため、休業開始1週間前に有期雇用の派遣社員を代替要員として雇用しました。

この事前準備が、その後のスムーズな業務遂行と、助成金申請の成功へとつながるのです。

Aさんの介護休業開始日は2025年9月10日です。

介護離職防止支援コース成功の鍵|中小企業が押さえる事前準備

B社は、この事例を成功させるため、Aさんの休業が始まる前から入念な準備を行いました。

この段階での取り組みが、その後のスムーズな業務遂行と、助成金申請の成功を左右します。

1. 介護支援プランの作成方法とポイント

介護に直面した従業員からの相談窓口をあらかじめ明確にしておくことが重要です。

B社では、Aさんから相談があった8月20日に、人事担当者がすぐに面談を実施しました。

そして、介護の状況や休業期間についてヒアリングをしました。

8月25日には、Aさんの休業中の業務を円滑に回すため、休業開始の1週間前(9月3日)から代替要員を雇用する計画を盛り込んだ「介護支援プラン」を策定しました。

B社の事例では、休業中の業務継続が課題だったため、休業開始1週間前に代替要員を雇用し、十分な引き継ぎ期間を設けることをプランに明記しました。

このプランは、制度を導入する前に労働局へ提出する「計画届」に添付するため、早めの準備が不可欠です。

2. 就業規則の整備|介護休業規定のドラフト例

助成金申請の要件として、介護休業や介護休暇に関する規定が、就業規則に明確に記載されている必要があります。

B社も、事前に自社の規定を見直し、最新の法改正に対応しているかを確認しました。

介護関連の規定は法律の改正に合わせて更新することが重要です。

古いままでは申請が認められない可能性があるため、常に最新の情報に沿って就業規則を整備して労基署に届出をしておきましょう。

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介護休業に関する規定は、既存の就業規則に追記する方法と、独立した「育児・介護休業規程」として別に作成する方法のどちらでも構いません。

どちらの場合でも、法定要件を満たしていれば、助成金の申請に利用できます。

  • 就業規則に追記する場合は、規程が一元化され管理しやすくなります。
  • 独立した規程を作成する場合は、法改正があった際にその規程だけを改訂すれば済むため、管理が容易になるメリットがあります。

いずれの方法でも、従業員に内容を周知し、労働基準監督署に届け出る必要があります。

介護休業に関する規定(ドラフト)

第〇条(介護休業の対象者)

従業員は、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする家族を介護するために、本規則に基づき介護休業をすることができます。

  • 「家族」の範囲は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、および配偶者の父母とします。
第〇条(介護休業の申出)

介護休業の申出をしようとする従業員は、介護休業を開始しようとする日の2週間前までに、会社に対し書面にて申し出なければなりません。

  • 申出の際には、氏名、介護が必要な家族との続柄、介護が必要な状態にあること、介護休業の開始予定日・終了予定日などを記載します。
  • 会社は、申出があった場合、その家族が介護を必要とすることを証明する書類(診断書、介護保険被保険者証の写しなど)の提出を求めることがあります。
第〇条(介護休業の期間)

介護休業は、対象家族1人につき、通算して93日を上限として、3回まで分割して取得することができます。

第〇条(介護休業期間中の賃金および社会保険料の取り扱い)
  • 介護休業期間中の賃金は、無給とします。
  • 介護休業期間中も、健康保険、厚生年金保険などの社会保険は継続して加入します。
第〇条(不利益な取扱いの禁止)

従業員が介護休業の申出をしたこと、または介護休業を取得したことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません。

最終チェックは専門家に依頼を

このドラフトはあくまで参考例です。

助成金申請を確実に成功させるため、そして労働トラブルを未然に防ぐためにも、最終的には社会保険労務士などの専門家に相談し、自社の状況に合わせた就業規則を整備することを強くお勧めします。

3. 従業員への周知方法と社内体制の整備

制度があっても、従業員がその存在を知らなければ利用できません。

B社では、就業規則への記載だけでなく、社内イントラネットや社内報、EAP(従業員支援プログラム)のような外部相談窓口の活用など、複数の方法で制度の内容や相談窓口の存在を周知しました。

これにより、従業員は安心して相談できる環境が整い、企業も早期に状況を把握できるようになります。

介護離職防止支援コースの計画段階|押さえるポイントと必要書類

すべての事前準備が整ったら、いよいよ助成金申請の最初のステップである「計画届」を労働局に提出します。

この手続きは、企業がこれから介護離職防止の取り組みを始めることを国に知らせる、まさに助成金申請のスタートラインです。

計画届の提出期限

計画届は、介護休業開始日の前日までに管轄の労働局へ提出する必要があります。

提出が遅れると、せっかく準備したにもかかわらず助成金の対象外となるため、余裕をもって手続きを進めることが非常に重要です。

B社は、介護休業開始日である9月10日の前日、9月9日に労働局へ計画届を提出しました。

添付書類の徹底解説

計画届を提出する際には、以下の書類を添付する必要があります。

書類に不備があると受理されず、手続きが大幅に遅れてしまいます。

提出前に必ずチェックリストを使って確認しましょう。

  • 介護支援プラン
    • 従業員との面談に基づき策定した、業務代替や職場復帰支援の具体的な計画書です。
  • 就業規則(介護規定)の写し
    • 就業規則内に介護休業に関する規定が明確に記載されている最新のものの写しを提出します。
    • 就業規則とは別に「育児・介護休業規程」を定めている場合は、その規程の写しを添付します。
  • その他
    • 計画段階で実施した「従業員への周知方法」がわかる資料です。
    • 例えば、社内報の写し、社内イントラネットの画面キャプチャ、メールの控えなどが該当します。

これらの基本書類に加え、ケースによっては以下の書類の提出を求められることがあります。

  • 労働保険料の納付状況がわかる書類
  • 会社の概要がわかる書類(商業登記簿謄本など)
  • 労働者の雇用状況がわかる書類(雇用契約書、労働者名簿など)

これらの書類は、助成金の申請手続き全体を通じて必要となる可能性があるため、事前に準備しておくと安心です。

介護支援プランに決まった様式はある?

「介護支援プラン」には、厚生労働省が提供する様式があります。

この様式を利用すれば、必要な項目を漏れなく記載できるため、スムーズな手続きが可能です。様式は厚生労働省のウェブサイトからダウンロードできますので、確認しておきましょう。

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介護離職防止支援コース実施段階|介護休業取得と業務代替の進め方

計画届を労働局に提出したら、次はそれを実行に移す段階です。

このプロセスを着実に進めることが、助成金を確実に受け取るための重要なステップになります。

B社は、計画通りに以下の取り組みを実行しました。

1. 介護休業の取得と業務代替体制の構築

Aさんは、会社が事前に用意した制度を利用し、安心して9月10日より介護休業を取得しました。

B社は、事前に計画届に記載した通り、Aさんの休業開始1週間前の9月3日に代替要員として有期雇用の派遣社員を雇用。

これにより、Aさんから代替要員への丁寧な引き継ぎが実現しました。

その結果、Aさんの休業中もプロジェクトは滞りなく進み、企業の生産性を維持することができたのです。

2. 職場復帰支援の具体例と注意点

介護休業は12月11日に終了しました。

介護休業を終え、12月12日に職場復帰しました。

Aさんが職場に復帰した後も、B社の支援は続きました。

B社はAさんと面談を実施し、復帰後の勤務条件や業務内容について再度確認。

Aさんが無理なく仕事と介護を両立できるよう配慮しました。

この継続的なサポートが、従業員の長期的な定着とモチベーション向上につながります。

介護離職防止支援コース申請段階|助成金を確実に受け取る方法とチェックリスト

介護休業の実施、そして職場復帰という一連のプロセスが終わったら、いよいよ最後のステップ、助成金の支給申請です。

B社は、Aさんの介護休業・職場復帰が完了した2026年1月20日に、助成金の支給申請を労働局に行いました。

この段階で最も重要なのは、必要な書類を漏れなく揃え、正確に提出することです。

B社が申請する助成金の金額

B社がAさんの介護休業に対して受給できる助成金は、以下の通りです。

  • 業務代替支援コース
    • Aさんの休業期間中の業務を代替したことに対して、28.5万円が支給されます。
  • 介護休業・職場復帰支援コース
    • このコースでは、介護休業取得時と職場復帰時の2回に分けて助成金が支給されます。
      • 介護休業取得時
        • 28.5万円
      • 職場復帰時
        • 28.5万円

したがって、B社は、この一連の取り組みで、合計85.5万円(28.5万円+28.5万円+28.5万円)の助成金を受け取ろうとしていました。

助成金申請に必要な書類

助成金申請には、特定の取り組みを証明する書類と、事業者としての基本要件を証明する共通の書類の両方が必要です。

1. 各コースに特有の必須書類

以下の書類は、介護離職防止支援コースの取り組み内容を証明するために必須です。

  • 計画段階で提出した書類のコピー
    • 介護支援プラン
    • 就業規則(介護規定)の写し
    • その他(制度の周知方法がわかる資料など)
  • 介護の事実を証明する書類
    • Aさんの介護状況がわかる書類(介護保険被保険者証の写しなど)
  • 業務代替の事実を証明する書類
    • 代替要員の雇用契約書
    • 代替要員の賃金台帳・出勤簿
  • 制度利用の事実を証明する書類
    • 介護休業申出書
    • 従業員との面談記録(面談シートなど)
    • その他、制度を適切に利用したことを示す記録

2. 全コース共通の必須書類

以下の書類は、両立支援等助成金全般に共通して必須となります。これらは、事業主が助成金の基本要件を満たしていることを証明するために不可欠です。

  • 支給要件確認申立書
  • 雇用保険被保険者名簿の写し
  • 出勤簿・タイムカードの写し
  • 労働保険料の納付書類の写し
  • 法人の登記事項証明書

これらの書類が一つでも欠けていると、審査が大幅に遅れたり、最悪の場合、助成金が不支給になったりすることがあります。正確な記録と保管を心がけましょう。

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助成金の支給はいつ?申請後の流れを解説

申請が受理されてから助成金が振り込まれるまでには、通常2~3か月ほどかかります。これはあくまで目安です。

支給までの期間は、提出書類に不備がないか、審査が混雑する時期でないか、実地調査が必要ないかといった要因に左右されます。

特に、書類の不備は支給が遅れる最大の原因となります。申請前にすべての書類を完璧に揃えておくことが何よりも重要です。

介護離職防止支援コース活用のまとめ|中小企業が押さえる実践のポイントと留意点

介護離職防止支援コースを活用するうえで最も重要なのは、「計画」「実施」「申請」の各段階で、いかに抜け漏れなく準備と記録を行うかです。

ステップ 提出期限 必要書類
計画 介護休業開始前日まで 支援プラン、就業規則、計画届、その他書類|本文参照
実施 介護休業終了後速やかに 代替要員の雇用契約書、勤務記録、その他書類|本文参照
申請 休業終了日の翌日から起算して2か月以内 支給申請書、労働者の出勤簿・給与台帳、雇用契約書、その他書類|本文参照
入金 申請後2〜3か月程度で入金 銀行口座情報、支給決定通知書
段階                   留意点
計画介護支援プランの作成や就業規則の整備は、介護休業取得の前日までに終え、労働局に計画届を提出する必要があります。
この段階で準備を怠ると、助成金申請のスタートラインにすら立てません。
実施計画通りに業務代替や職場復帰支援を実施することが必須です。
特に、代替要員の雇用期間や、従業員との面談記録など、すべての活動を正確に記録・保存しておくことが重要です。
申請申請書類には、取り組み内容を証明する書類と、事業者としての基本要件を満たす共通の必須書類があります。
一つでも不備があると審査が遅れたり、不支給になったりします。
厚生労働省の最新の要項を確認するか、社会保険労務士などの専門家に相談することで、手続きのミスを未然に防ぎましょう。

この助成金は、企業の持続的な成長と従業員の安心を守るための有効な手段です。

単なる手続きではなく、職場環境の改善に向けた重要な「投資」として捉えることが成功の鍵となります。

2025年改正育児介護休業法シリーズ総まとめ|中小企業が今すぐ実践すべきポイント

本シリーズでは、2025年改正育児介護休業法に基づき、男性の育児休業取得促進、柔軟な働き方の導入、介護離職防止など、中小企業が押さえるべき制度のポイントを全48記事にわたって解説してきました。

記事を通してご理解いただけたように、法改正の知識だけでなく、実務での活用方法や助成金制度の具体的手順を理解し、職場で実践することが何より重要です。

本シリーズのまとめとして、企業が今すぐ取り組むべきステップは次の通りです。

1. 制度の自社への適用状況を確認する

  • 就業規則や各種規程が最新法改正に対応しているかをチェックし、必要に応じて整備・届出を行う。

2. 従業員への周知と相談体制を整える

  • 社内報、イントラネット、面談窓口などを活用し、従業員が安心して制度を利用できる環境を作る。

3. 助成金や支援制度を活用する

  • 育児休業や介護休業の取得を支援するための助成金を申請し、計画的に活用する。

4. 定期的な見直しとフォローアップ

  • 制度を運用した結果を評価し、必要に応じて改善策を講じることで、従業員の定着やモチベーション向上に繋げる。

改正育児介護休業法のポイントは理解しても、実務で活かさなければ意味がありません。

本シリーズを通して学んだ知識を、自社の制度整備や職場環境の改善にぜひ活用してください。

最後までお読みいただきありがとうございました。ご相談の際は、以下よりお気軽にお問い合わせください。☟

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