こんにちは。副業社労士の戸塚淳二です。
「頼まれた仕事は、きちんとやる。でも、それ以上は頑張らない。」
そんな働き方に、心当たりはありませんか?
これは「静かな退職」と呼ばれています。マイナビの調査(2026年)では、20〜59歳の正社員の46.7%が、「静かな退職をしている」と答えました。前年より2.2ポイント増えています。
「仕事をサボっているだけでは?」と思う方もいるかもしれません。
ですが、背景には、評価への不満や価値観の変化など、いくつもの要因があります。
実は私自身も、本業では、以前のようにがむしゃらに頑張る気持ちがなくなった一人です。
そのうえで、副業社労士として多くの働く人の声を聞くなかで、この現象が個人の問題だけではないと感じるようになりました。
この記事では、社労士の視点と当事者の視点の両方から、静かな退職が増えている理由を整理します。
この記事でわかること
- 「静かな退職」の意味と、燃え尽き症候群・大退職時代との違い
- 法的な位置づけ(残業命令、評価への影響、副業の注意点)
- 自分が当てはまるかを確かめる7項目のチェックリスト
- 静かな退職が増えている理由(企業・個人・社会の3つの背景)
- 最新の調査データ(マイナビ・Great Place To Work®)
このテーマは全4回で書いています。
第1回の今回は、「静かな退職とは何か」と「なぜ増えているのか」を整理します。
巷で話題の「静かな退職(Quiet Quitting)」とは?現代の働き方で注目される現象
最近、SNSやニュースで「静かな退職(クワイエット・クイッティング)」という言葉を目にする機会が増えました。
「退職」と聞くと、会社を辞めること、つまり職場から完全に去ることを想像しませんか?
しかも、「静かな退職」というくらいだから「いつの間にか会社からいなくなる」という物理的な意味合いで、最初はそうとらえた方も多いのではないでしょうか。
しかしながら、従来の「退職」とはまったく異なる、現代の働き方に潜む、より複雑な現象を指しています。実際に会社を辞めるわけではないのに、なぜ「退職」という言葉が使われるのか、疑問に感じるかもしれません。
「静かな退職(Quiet Quitting)」はアメリカ発!TikTokで世界中に拡散された現象
この「静かな退職」という概念は、実はアメリカで生まれます。
そして、特に2022年頃から動画投稿アプリ「TikTok」を通じて世界中に広まりました。
若者を中心に「Quiet Quitting」というハッシュタグが使われた動画が多数投稿され、共感を呼び、瞬く間に社会現象となります。
「静かな退職(Quiet Quitting)」とは?定義と従来の働き方との違い
「静かな退職」という言葉を聞いて、「結局、仕事をサボっていること?」とか、「無気力な状態を正当化しているだけでは?」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、その本質は、そう単純なものではありません。
まずは、この現象が具体的に何を指し、従来の働き方や他の一般的な労働問題とどう異なるのかを明確にしていきましょう。
「静かな退職(Quiet Quitting)」の特徴と明確な定義|仕事の最低限遂行と線引きの考え方
「静かな退職」とは、従業員が与えられた業務はこなし、責任も果たしますが、会社のためのそれ以上の自発的な努力や貢献は控える状態を指します。
具体的には、以下のような特徴が見られます。
- 最低限の業務遂行
- 労働契約や就業規則で定められた範囲の業務、あるいは上司から指示された業務だけを、きちんと実行します。
- 欧米では職務記述書が基準になりますが、日本では職務が限定されていない働き方が多く、「どこまでが自分の仕事か」という線引きは曖昧になりがちです。
- 「それ以上」の努力の拒否
- 昇進のための過度な努力、業務命令によらない自発的な時間外の働き、会社での評価を高めるための自発的なスキルアップ、職務範囲外のヘルプ、会社のイベントへの積極的な参加など、「期待されるが義務ではない」とされる行動は行いません。
- 昇進や評価への意欲の欠如
- 出世や高評価、それに伴う給与アップへの強いモチベーションを持たず、現状維持で満足します。
- 勤め先への感情的なコミットメントの低さ
- 勤め先に対して情熱や強い愛着、使命感を持たず、勤務は「生活のための手段」と割り切ります。
ここで押さえておきたいのは、「努力をやめる」のではなく、「会社に向ける努力を控える」という点です。
静かな退職をしている人の中には、浮いた時間やエネルギーを、副業や資格の勉強、家族との時間、趣味などに振り向ける人もいます。
努力の総量が減るとは限らず、努力を向ける先が会社の外に移っている場合もあるのです。もちろん、意欲そのものが下がっているケースもあります。
重要なのは、実際に会社を辞めるわけではないという点です。従業員は会社に籍を置き続け、給与を受け取りながら、自身の「割り切り」の中で仕事を続けます。
なお、「静かな退職」は、業務命令を拒否することとは違います。
会社が有効な36協定を結び、就業規則などに時間外労働の根拠がある場合、従業員は、正当な理由がない限り、残業命令に従う義務があるとされています(日立製作所事件・最高裁平成3年11月28日判決)。
また、時間外労働には法律上の上限があり、原則として月45時間・年360時間までとされています(特別な事情がある場合の例外もあります)。
「静かな退職」で線を引くのは、あくまで「命じられていない、期待されているだけの努力」です。
「静かな退職」は法律上の用語ではなく、労働法に定義があるわけではありません。
労働契約で決められた業務を、決められた時間内に誠実にこなしている限り、それだけで違法になったり、直ちに懲戒の対象になったりするものではありません。
ただし、評価や処遇への影響は別の話です。
「期待を上回る貢献がない」と判断され、人事評価の裁量の範囲内で昇給・賞与・昇進に差がつくことは、適法にあり得ます。
また、必要な業務を怠ったり、業務上の指示に従わなかったりすれば、「静かな退職」ではなく、労働契約上の義務違反(誠実に働く義務の違反)として、注意指導や懲戒の対象になる場合があります。
あなたも「静かな退職(Quiet Quitting)」の渦中に?自己診断と気づきのポイント
ここまでの内容をもとに、ご自身の状態を振り返ってみましょう。次の7項目のうち、当てはまるものを数えてみてください。
☐ 1. 与えられた仕事は、期限や品質を守って、きちんとこなしている
☐ 2. 頼まれていない仕事や、自分の担当ではない仕事を、自分から引き受けることはしなくなった
☐ 3. 業務命令によらない自主的な残業は、しないようにしている
☐ 4. 昇進や昇給のために、以前のように頑張ろうとは思わなくなった
☐ 5. 会社の飲み会やイベント、社内の活動には、必要なものにしか参加しない
☐ 6. 仕事は「生活のための手段」と割り切っていて、勤め先への愛着や使命感は薄い
☐ 7. 会社での評価を高めるための勉強や資格取得は、あまりしなくなった
判定の目安
- 1に当てはまり、2〜7のうち4つ以上が当てはまる
- 静かな退職の傾向が強い状態です。
- 1に当てはまり、2〜7のうち2〜3つが当てはまる
- 部分的に静かな退職の傾向があります。
- 2〜7のうち当てはまるものが0〜1つ
- 静かな退職の傾向は、あまり見られません。
- 1に当てはまらない
- 「静かな退職」というより、仕事の遂行に課題がある状態かもしれません。必要な業務を怠った場合は、注意指導や評価に影響する場合があります。
このチェックリストは、この記事の定義にそって筆者が作成した目安であり、医学的・法的な診断ではありません。
気づきのポイント
- 「選んだ」のか、「諦めた」のか
- 自分の価値観で線を引いたのか、評価への不満や職場への失望から意欲を失ったのかで、その後の向き合い方は変わります。
- 前者なら、会社の外に向ける力を意識的に育てることもできます。後者なら、職場の環境や評価の仕組みそのものに、見直すべき点があるかもしれません。
- 心身のサインを見逃さない
- 眠れない、朝になると体が重い、何をしても楽しめない、といった状態が続く場合は、意欲の低下ではなく、燃え尽きや心の不調の可能性があります。
- その場合は、一人で抱えず、会社の産業医や、かかりつけの医療機関などに相談してください。
- 会社との線引きは、評価に影響する可能性がある
- 線を引くこと自体は違法ではありませんが、昇給・賞与・昇進への影響は適法に生じ得ます。
- 自分が何を優先したいのかを整理したうえで、納得して選ぶことが大切です。
「静かな退職」と燃え尽き症候群・大退職時代の違い|現代の働き方で注目される新現象
この「静かな退職」は、過去に話題になった他の労働問題と混同されがちですが、その根底にある心理や行動は大きく異なります。
「燃え尽き症候群(バーンアウト)」との違い
燃え尽き症候群は、1970年代前半、アメリカの心理学者フロイデンバーガーにより提唱された概念です。
これは、仕事への過度な情熱や努力が報われず、心身が極度に疲弊した結果、意欲を失ってしまう状態を指します。
なお、WHO(世界保健機関)の国際疾病分類(ICD-11)では、燃え尽き症候群は「職業に関連する現象」と位置づけられており、病気や医学的な状態そのものを表す診断名ではありません。ただし、放置すると、うつ病などの心の不調につながることもあるとされています。
いわば、「頑張りすぎた結果、心身が消耗してしまった」という、本人の意思だけでは調整しにくい側面が強い現象です。
対して「静かな退職」は、自分で「これ以上は頑張らない」と線引きをする、意識的な選択という側面があります。
ただし、評価への不満や職場への失望から、結果としてそうなっているケースもあり、燃え尽きと重なる場合もあります。
心身が消耗しきる前にペースを落とすという面では、持続可能な働き方を模索する動きと見ることもできます。
「大退職時代(グレート・レジグネーション)」との違い
「大退職時代」は、特にパンデミック中にアメリカなどで見られた、多くの従業員が実際に会社を辞めて転職したり、キャリアチェンジしたりする動きを指します。
不満やより良い労働条件を求めて、具体的な「離職」という行動に出るのが特徴です。
しかし「静かな退職」は、会社に籍を置き続けることを前提としています。
彼らは「辞める」のではなく、「会社でできるだけ労力を費やさずに、生活の基盤を維持する」という選択をしています。
これは、「現状維持」をしながら、自身の幸福や精神的安定を優先するという、より繊細なアプローチと言えるでしょう。
要するに、「静かな退職」とは、会社に向ける努力を控え、自分の時間や心身の健康、生活とのバランスを優先する働き方です。
心身が消耗しきった状態の燃え尽きとも、会社を離れる大退職とも異なる位置にあります。
ただし、その背景は人によって異なります。自分の価値観で線を引く人もいれば、評価や職場への不満から意欲を失った人もいます。
なぜ増えているのかは、次の章で詳しく見ていきます。
静かな退職が増加している理由|企業・個人・社会の3つの背景
では、なぜ「静かな退職」を選ぶ人がこれほど増えているのでしょうか?
この現象は、決して個人の「やる気の問題」だけで片付けられるものではありません。
企業、個人、そして社会全体の複数の要因が複雑に絡み合って生まれる、現代社会のひずみが表れたものだと考えられます。
マイナビの2026年調査では、静かな退職をしている人に、そのきっかけを4つのタイプで聞いています。
結果は、「無関心タイプ」(もともとの価値観として、変化や上昇を求めていない)が20.6%、「損得重視タイプ」(金銭的な損得やコストパフォーマンスを考えている)が18.8%、「評価不満タイプ」(処遇や評価への不満)が17.0%、「不一致タイプ」(仕事や環境が合わず、意欲が下がった)が16.0%でした。
※出典👉マイナビ キャリアリサーチLab「正社員の静かな退職に関する調査2026年(2025年実績)」
特定の理由が突出しているわけではなく、本人の価値観によるものと、職場への不満によるものが混在していることがわかります。
ここからは、企業・個人・社会の3つの側面に分けて、増えている背景を見ていきます。
1. 企業側の要因とは?従業員の熱意を削ぐ慢性的課題と静かな退職の関係
従業員が「静かな退職」に至る背景には、企業の側に存在する構造的な問題が深く関係しています。
不適切な労働環境と評価制度への不満
長時間労働が常態化しているにもかかわらず、それが正当に評価されない、あるいは報酬に結びつかないという状況は、従業員のモチベーションを著しく低下させます。
不透明な評価基準や、頑張っても報われないと感じる環境では、「どうせ頑張っても無駄だ」という諦めの感情が芽生えやすくなります。
実際、マイナビの企業向け調査では、評価の目標設定は「会社や上司の決定」が33.7%と高く、評価基準や結果が「公表されない」企業(27.6%)が、「オープンで説明がある」企業(26.8%)をやや上回りました。
評価の透明性が低い職場が一定数あることは、「評価不満」を理由とする静かな退職につながる可能性があります。
閉塞感のあるキャリアパス
企業内で明確なキャリアビジョンを描けない、あるいは成長の機会が見出せない場合、従業員は仕事への意欲を失いやすくなります。
昇進のポストが限られていたり、スキルアップのための支援が不足していたりすると、目標を失い、与えられた業務をこなす以上の意欲が湧きにくくなります。
同じ調査では、異動や転勤、キャリアパスの選択について、「会社の指示」が強いとした企業が約4割(41.9%)にのぼり、「個人の希望」が強いとした企業(12.4%)を大きく上回りました。
自分でキャリアを決められないという感覚が、不本意な形で静かな退職を選ぶ一因になっている可能性があります。
マネジメントの課題
上司とのコミュニケーション不足、部下の意見に耳を傾けない姿勢、心理的安全性の低い職場環境、あるいはハラスメントの放置なども、従業員のエンゲージメントを低下させる大きな要因です。
信頼関係が築けない環境では、従業員は自ら進んで貢献しようとは考えにくくなります。
【特に重要視】「やりがい搾取」の蔓延
これは「静かな退職」を引き起こす、近年特に顕著な要因の一つです。
企業が「やりがい」や「成長」という言葉を都合よく利用し、従業員の熱意や善意に付け込んで、低賃金・長時間労働を強いる風潮が広がっています。
「好きでやっているんだから残業は当然」「経験になるから多少のサービス残業は仕方ない」といった言葉で、本来支払われるべき対価や、労働時間外の努力を軽視する傾向が常態化しているケースも少なくありません。
注意したいのは、「やりがい搾取」は法律上の用語ではなく、違法なケースと、違法とまでは言えないケースが混在しているという点です。
たとえば、働いた時間に対する残業代が支払われていないのであれば、労働基準法違反(割増賃金、賃金全額払いの原則)に当たる可能性があります。
一方で、残業代は払われていても、低い賃金のまま過度な責任や長時間労働を求められるような場合は、直ちに違法とは言えなくても、従業員が「報われない」と感じる大きな要因になります。
従業員は、初めは「やりがい」を感じて頑張っていても、それが適切な評価や報酬に結びつかないと、「もう、これ以上は報われない」「自分の熱意が利用されているだけだ」と見切りをつけることがあります。
その結果として、「静かな退職」を選ぶ人も少なくありません。
2. 個人の価値観の変化とは?「仕事=人生のすべて」ではない現代の静かな退職
近年は、年代を問わず、個人の働き方や幸福に対する価値観が変化していることも、「静かな退職」を後押ししていると考えられます。
ワークライフバランスの絶対的な重視
かつてのように仕事が人生の中心であり、プライベートを犠牲にすることに抵抗がないという人は減りました。
心身の健康や自由な時間を何よりも大切にし、仕事のために過度なストレスや負担を抱えることに強い抵抗を感じるようになっています。
自己実現の場の多様化
会社内での出世や昇給だけが、唯一の成功軸ではありません。
インターネットやSNSの普及により、副業でのスキルアップ、趣味の深掘り、地域活動への参加、あるいは別のスキル習得など、自己実現の場が無限に広がりました。
私自身も、本業以外に社会保険労務士としての副業で自己成長や社会貢献の場を見出しています。
本業は安定的な生活基盤と割り切り、情熱や時間を副業やプライベートに注ぐという選択は、まさにこの多様な自己実現の一例です。
なお、副業を始める際は、勤務先の就業規則を確認しておく必要があります。
副業は法律で一律に禁止されているわけではなく、国も副業・兼業を促進する方向にありますが、会社が就業規則で許可制や届出制を定めていることも多く、本業の勤務時間中に副業を行うことは職務専念義務に反します。
また、本業に支障が出る場合や、会社の信用を傷つける場合、競業にあたる場合などは、制限が認められる可能性もあります。
「鶴の一声」への嫌悪感と主体性の回復
これは私の個人的な経験とも深く結びついています。「とある人の思いついたような鶴の一声ですべてが決まってしまう」という、理不尽で不透明な決定に嫌気がさしたのが大きなきっかけです。
自分の努力やキャリアが、個人の気分や都合で簡単に左右される現実に直面したとき、「こんなことで自分の人生が左右されるのは馬鹿馬鹿しい」と感じるようになります。
私の場合は、会社へのロイヤルティがなくなり、「いつでも自分から組織から飛び降りられる状態にしておきたい」と考えるようになりました。
会社に依存せず、自分の人生の主導権を取り戻そうとする動きは、「静かな退職」を選ぶ動機のひとつになりうると思います。
ただし、これはあくまで私の個人的な経験で、すべての人に当てはまるわけではありません。
3. 社会全体の変化がもたらす静かな退職|不確実な時代を生き抜く働き方戦略
経済の不確実性の高まりや、終身雇用神話の崩壊も、「静かな退職」の背景にある要因です。
会社への過度な依存の回避
いつ会社が倒産したり、リストラが行われたりするかわからない時代において、一つの会社に過度に依存することはリスクであるという認識が広がっています。
であれば、会社のために身を粉にして尽くすよりも、自分のスキルを高めたり、複数の収入源を持ったりして、個人の市場価値を高める方が賢明だと考えるのです。
パンデミックによる価値観の変化の加速
新型コロナウイルスのパンデミックは、多くの人に働き方や人生を見つめ直すきっかけを与えました。
リモートワークの普及で仕事と生活の境界があいまいになったことも、自分の健康や時間の大切さを意識する一因になったと考えられます。
賃上げが進んでも、意欲は戻らない?
パンデミック後の数年で、賃金をめぐる環境は大きく変わりました。
連合の集計では、春闘の賃上げ率(定期昇給分を含む)は2023年の3.58%から、2024年に5.10%、2025年に5.25%、2026年に5.01%となり、3年連続で5%台です。
企業が賃上げを進めてきた背景として、物価高や人手不足が指摘されています。
それでも、静かな退職をしている人の割合は、マイナビの調査で前年より増えています(46.7%、前年比+2.2pt)。
中小企業の賃上げ率は4.69%で5%に届いておらず、物価高騰が続くなかで、賃上げが暮らしの安定につながるかどうかは不透明だとも指摘されています。
賃金が上がるだけでは、評価への納得感や、仕事に対する意欲までは戻りにくいのかもしれません。
静かな退職が増えている背景には、お金の問題だけでなく、「頑張りがどう評価されるのか」という納得感の問題もあるのではないか、というのが私の見方です。
※出典👉連合「2026春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果」(2026年7月3日公表)、共同通信(2026年7月3日)
「静かな退職」は、これらの多岐にわたる要因が絡み合って生じる現象です。
現代の企業が抱える課題と、それに適応しようとする個人の選択が重なった結果として捉えるべきでしょう。
数字で見る静かな退職|調査で割合が大きく異なる理由
静かな退職をしている人は、実際にどれくらいいるのでしょうか。代表的な2つの調査を見てみます。
| 調査 | 時期・対象 | 主な結果 |
|---|---|---|
| マイナビ「正社員の静かな退職に関する調査2026年(2025年実績)」 | 2025年11月、20〜59歳の正社員3,000人 | 46.7%が実施(前年比+2.2pt)。実施者の73.7%が「今後も続けたい」 |
| Great Place To Work® Institute Japan「静かな退職に関する調査2025年」 | 2024年12月、20〜59歳の13,824名 | 実践者は2.8%(前年の2.4%から微増) |
同じ「静かな退職」でも、46.7%と2.8%と、数字は大きく異なります。これは、どこまでを静かな退職とみなすか、という定義や質問の仕方の違いが背景にあると考えられます。ただし、どちらの調査でも前年より増加している点は共通しています。
マイナビの調査では、年代別の割合は20代50.5%、30代49.1%、50代46.7%、40代42.3%で、全年代で4割を超えています。「若者だけの現象」とは言えないことがわかります。
企業側の受け止めも分かれています。企業の中途採用担当者に聞くと、静かな退職に賛成が42.2%、反対が30.1%でした。
出典・詳細
- マイナビ キャリアリサーチLab「正社員の静かな退職に関する調査2026年(2025年実績)」👉 https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260413_109736/
- Great Place To Work® Institute Japan「静かな退職に関する調査2025年」👉 https://hatarakigai.info/news/2025/0304_3848.html
筆者の体験|私が「頑張りすぎない」と決めた理由
「頑張って認めてもらいたい」「そして給料を上げてもらいたい」以前は当然のようにそのように考えて日々仕事をしておりました。
しかし、ある出来事をきっかけに、その考えははっきりと自分の中から消え去りました。
このことは別の記事(50代会社員が独学で社労士試験に合格|体験記まとめ)を読み進めていただければ、と思います。
本業は日々一生懸命こなしていますが、正直なところ、以前のように出世や昇給のためにがむしゃらに頑張ろうという気持ちは、もはやありません。
同時に、副業として社会保険労務士として活動する中で、多くの働く人たちの声を聞き、この現象が単なる個人の問題ではないことを痛感しています。
思っていたより、かなり長くなりました。続きは次回。👉静かな退職がもたらす影響 個人と企業、光と影の真実(副業社労士の考察2)
では、また。

- 執筆者|社会保険労務士 戸塚淳二(社会保険労務士登録番号|29240010号)
- 会社員歴30年以上、転職5回を経験した氷河期世代の社会保険労務士です。自らが激動の時代を生き抜いたからこそ、机上の空論ではない、働く人の視点にたった情報提供をモットーとしています。あなたの働き方と権利を守るために必要な、労働法や社会保険の知識、そしてキャリア形成に役立つヒントを、あなたの日常に寄り添いながら、分かりやすく解説します。
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