本記事は「【社労士が解説】企業のための熱中症対策 実践講座」シリーズの第4話です。第1話は👉熱中症は「他人事」ではない!企業に求められる安全配慮義務の基礎
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WBGT値を測定し、休憩ルールも整えた。
それでも熱中症事故が起きる職場があります。
原因の多くは「一律対応」です。
高齢者、持病を持つ従業員、体調不良者──こうした高リスクの労働者への個別配慮が抜け落ちていると、どれだけ標準的な対策を整えても会社は守れません。
この記事では、見過ごされがちな高リスク労働者への具体的な対応方法をチェックリスト形式で整理します。
前回の記事は👉職場の熱中症対策 WBGT測定から休憩ルールまで実務チェックリスト
この記事でわかること
- 高齢者・持病を持つ従業員など熱中症リスクの高い労働者の把握方法
- 健康状態に応じた作業内容・作業時間の個別調整の具体的な方法
- 管理者による定期的な健康チェックと声かけの実践ポイント
- 持病・服薬状況の確認と産業医との連携方法
- 個別配慮チェックリストの活用方法
高齢者・体調不良者の熱中症リスクと個別配慮
熱中症対策は、全ての労働者に対して一律に行うだけでなく、個々の健康状態や特性に応じた個別配慮が不可欠です。
特に高齢者や持病を持つ方、体調が優れない方は、熱中症のリスクが格段に高まります。
これらの見過ごされがちなリスクに対し、企業がどのように向き合うべきかを解説します。
熱中症リスクの高い従業員を把握できていますか
まず、企業は熱中症リスクの高い労働者を正確に把握し、その情報を適切に共有する体制を整える必要があります。
- リスク要因の理解
- 高齢者、肥満者、糖尿病や高血圧などの持病を持つ方、睡眠不足や疲労が蓄積している方、前日に深酒をした方などは、熱中症になりやすい傾向があります。
- 経営者はこれらのリスク要因を管理者・現場リーダーに周知し、組織全体で把握できる体制を作る必要があります。
- 情報共有の仕組み
- 個人情報保護に配慮しつつ、熱中症リスクの高い労働者の情報を、業務上必要な範囲で管理者や関係者間で共有する仕組みを作りましょう。
- 健康診断の結果や、産業医からの情報提供なども活用できます。
熱中症リスク者への作業内容・作業時間の調整方法
リスクの高い労働者に対しては、WBGT値の基準だけでなく、その日の体調や健康状態に応じて、柔軟な作業内容や作業時間の調整を行うことが求められます。
- 作業の軽減
- 炎天下での重労働や、長時間の連続作業は避けるよう配慮しましょう。
- 軽作業への変更、屋内でできる作業への振り分け、作業量の調整などを検討します。
- 休憩の強化
- 一般的な休憩ルールに加え、より頻繁な休憩や、長めの休憩時間を確保するなど、個別の休憩計画を立てることも有効です。
- 作業時間の変更
- 可能であれば、暑さのピーク時(午後)の作業を避け、比較的涼しい早朝や夕方などに作業時間を変更することも考慮に入れましょう。
声かけと観察が命を救う|管理者がすべき健康チェック
高リスクの従業員は自身の体調変化に気づきにくく、無理をしがちです。
経営者は管理者に対して、きめ細やかな観察と声かけを義務づける必要があります。
- 作業前の体調確認
- 作業開始前に、体温、血圧、疲労度などを確認する「健康チェック」を習慣化しましょう。
- 体調不良が見られる場合は、無理をさせずに休養を促す勇気ある判断が求められます。
- 巡回と声かけ
- 管理者は、定期的に現場を巡回し、リスクの高い労働者の様子を注意深く観察しましょう。
- 積極的に声かけを行い、「体調はどうか」「無理していないか」といったコミュニケーションを通じて、異変を早期に察知することが大切です。
- セルフケアの指導
- 水分補給の重要性や初期症状への対処法など、従業員が自分で行えるセルフケアについて、経営者は管理者を通じて繰り返し指導する体制を整えましょう。
熱中症リスク者の持病・服薬状況の確認と個別配慮
特定の持病や服用している薬によっては、熱中症リスクを高めるものがあります。
これらの情報を事前に把握し、個別に配慮することが非常に重要です。
- 情報収集の徹底
- 入社時や健康診断時などに、持病や常用薬の有無について確認する機会を設けましょう。
- 個人情報の取り扱いには十分注意し、産業医や保健師を通じて適切なアドバイスを得ることが望ましいです。
- 産業医・専門家との連携
- 持病や服薬状況に応じた具体的な作業制限や配慮事項については、産業医や外部の専門家と連携し、医学的な知見に基づいた判断を行いましょう。
- 緊急時の情報共有
- 万が一、熱中症を発症した場合に備え、持病やアレルギー、緊急連絡先などの情報を、関係者間で速やかに共有できる体制を整えておくことも命を守る上で不可欠です。
- 熱中症リスクの高い労働者の把握と情報共有
- 高齢者、持病を持つ方、肥満者など、熱中症リスクが高い労働者のリストを把握していますか? (はい / いいえ)
- 個人情報保護に配慮しつつ、熱中症リスクに関する情報を業務上必要な範囲で関係者(管理者、リーダーなど)と共有する仕組みがありますか? (はい / いいえ)
- 健康状態に応じた作業内容・作業時間の調整
- 熱中症リスクの高い労働者に対し、その日の健康状態やWBGT値に応じて、作業内容(例:軽作業への変更)や作業時間の調整を行っていますか? (はい / いいえ)
- より頻繁な休憩や長めの休憩時間など、個別に応じた休憩計画を検討・実施していますか? (はい / いいえ)
- 可能な場合、暑さのピーク時を避けた作業時間帯への変更を考慮していますか? (はい / いいえ)
- 定期的な健康チェックと声かけの実施
- 作業開始前に、リスクの高い労働者の体温や疲労度などの健康チェックを行っていますか? (はい / いいえ)
- 管理者は定期的に巡回し、リスクの高い労働者の体調変化に注意を払い、積極的に声かけを行っていますか? (はい / いいえ)
- 労働者自身が体調の異変を早期に申告できるよう、セルフケアに関する指導を行っていますか? (はい / いいえ)
- 持病や服薬状況の確認と、それに応じた配慮
- 入社時や健康診断時などに、持病や常用薬の有無について確認する機会を設けていますか? (はい / いいえ)
- 持病や服薬状況に応じた具体的な作業制限や配慮事項について、産業医や専門家と連携して判断を行っていますか? (はい / いいえ)
- 緊急時に備え、持病やアレルギーなどの情報を、速やかに共有できる体制を整えていますか? (はい / いいえ)
まとめ|一律対応では守れない命がある
熱中症対策に「全員同じ対応でいい」という発想は通用しません。
高齢者、持病を持つ従業員、体調不良者──こうした高リスクの労働者を把握し、個別に配慮することが企業の安全配慮義務の核心です。
チェックリストを使って、自社の個別配慮に抜け漏れがないか今すぐ確認してください。
次回は、熱中症予防教育の進め方と、万が一の際に企業を守る記録管理の方法を解説します。
次回予告|熱中症予防教育と記録管理で安全配慮義務を履行
具体的なテーマは、熱中症予防教育の進め方と、対策が適切に実施されていることを示す記録管理の徹底です。
従業員全員の意識を高め、企業が安全配慮義務を確実に履行していることを明確にするための、実践的なヒントとチェックリストをお届けします。
ぜひ続けて読んでみてください。
次回の記事は👉職場の熱中症対策 予防教育と記録管理で法的証拠を残す
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- 執筆者|社会保険労務士 戸塚淳二(社会保険労務士登録番号|第29240010号)
- 日々、企業の「ヒト」と「組織」に関わる様々な課題に真摯に向き合っています。労働法の基本的な知識から、実務に役立つ労務管理の考え方や人事制度の整え方まで、専門家として確かな情報を初めての方にもわかりやすくお伝えします。
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