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両立支援等助成金「柔軟な働き方選択制度等支援コース」【令和8年度版】|中小企業向け助成金活用ガイド

両立支援等助成金 柔軟な働き方選択制度vol1 2025年改正育児介護休業法
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本記事は「2025年改正育児介護休業法シリーズ」の第43弾です。他のシリーズの記事はコチラから👉2025年育児介護休業法改正|企業がすべき対応と助成金情報

前回までの記事では、育児休業等支援コースと出生時両立支援コースについて詳しく解説してきました。

両立支援等助成金 育児休業等支援コース➀|助成金の申請条件を解説
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出生時両立支援コースの第1種(育児取得時)の助成金を確実に受給するための要件と手続きを徹底解説。一般事業主行動計画の策定や加算要件、必要書類まで実務に役立つ情報を網羅しています。
両立支援等助成金 出生時両立支援コース➂男性労働者の育児休業取得率の上昇等|最大75万円の受給条件と申請手順
出生時両立支援コース第2種(職場復帰時)は、男性従業員の育児休業後の職場復帰と定着を支援する制度です。中小企業が最大70万円を受給する条件や申請期限、加算の仕組み、必要書類まで、実務担当者向けにわかりやすく解説します。

今回は、これらの育児休業に関わる支援とは少し趣の異なる、柔軟な働き方選択制度等支援コースに焦点を当てていきます。

このコースは、育児と仕事を両立できるよう、従業員一人ひとりの事情に応じた多様な働き方を可能にする制度導入を支援するものです。

働き方の選択肢を増やすことで、従業員がより長く、いきいきと働き続けられる職場環境づくりを目指す企業にとって、非常に重要な助成金と言えるでしょう。

  • 3歳~小学校就学前の子を養育する労働者の仕事と育児の両立を支える「柔軟な働き方」への助成金制度の概要
  • 対象となる5類型の制度と、3類型以上・4類型以上導入した場合の支給額の違い
  • 令和8年度から新設された障害児等要配慮支援加算・中学校修了まで加算(最大40万円)の内容
  • 面談・支援プラン策定など、受給に必要な実務上の要件
  • 中小企業3社の導入事例と実際に支給された金額

この記事で分かること

育児や介護と仕事の両立を支援|柔軟な働き方選択制度等支援コース

働き方改革が進む現代において、育児や介護と仕事の両立は、多くの従業員にとって大きな課題となっています。

子育てや親の介護で時間の制約があるために、働き続けることを諦めてしまう優秀な人材も少なくありません。

このような状況は、事業主にとっても大きな損失です。

「従業員の離職を防ぎ、働きやすい職場を作りたい」とお考えの事業主、担当者の皆さま。

その解決策の一つとして、「柔軟な働き方選択制度等支援コース」の活用をご提案します。

両立支援等助成金「柔軟な働き方選択制度等支援コース」とは?

「柔軟な働き方選択制度等支援コース」は、3歳~小学校就学前の子を養育する労働者が、仕事と育児を両立できるよう、多様な働き方(テレワーク、フレックスタイム制、短時間勤務、保育サービス補助、子の看護等休暇など5類型)を導入する事業主を支援する助成金です。

この助成金は、厚生労働省が提供する「両立支援等助成金」の一つであり、従業員がその能力を最大限に発揮できる職場環境づくりを促進することを目的としています。

柔軟な働き方の具体例|助成金対象となる5類型

このコースでは、以下の5つの制度をそれぞれ「1類型」としてカウントします。

助成金を受給するには3類型以上の導入が最低条件です。4類型以上導入すると支給額が上がります。

① フレックスタイム制/時差出勤制度

始業・終業時間を従業員が柔軟に設定できる制度、または出勤時間帯をずらせる制度です。子どもの送り迎えや通院など、個々の事情に合わせた働き方が可能になります。

② 育児のためのテレワーク等

自宅やサテライトオフィスで業務を行う制度です。令和8年度より、対象は育児を行う従業員に限定されています。

③ 短時間勤務制度

1日の所定労働時間を短縮する制度です。法律で定められた義務期間を超えて、企業が独自に設ける場合などが対象となります。

④ 保育サービスの手配・費用補助制度

企業が保育サービスを手配したり、その費用を補助したりする制度です。

⑤ 子の養育を容易にする休暇制度/法を上回る子の看護等休暇制度

育児・介護休業法が定める水準を上回る内容で、子の看護や行事参加などに使える休暇制度です。

※子の看護等休暇の有給化支援(別コース)
上記⑤の休暇制度を有給化した場合は、このコースとは別に30万円(1事業主1回限り)が支給されます。対象従業員が年間10時間以上利用したことが要件です。

柔軟な働き方選択制度等支援コースの目的|企業が得られるメリットとは

この助成金の最大の目的は、仕事と家庭の両立を支援することで、従業員の離職を防ぎ、働きやすい職場環境を整備することです。

企業がこの助成金を活用して柔軟な働き方制度を導入することは、以下のような多岐にわたるメリットをもたらします。

  • 従業員の離職率低下
    • 育児や介護を理由に離職せざるを得なかった従業員が、働き続けることが可能になります。
    • これは、企業が培ってきた貴重なノウハウや経験の流出を防ぐことにもつながります。
  • 生産性の向上
    • 従業員が自身のライフスタイルに合わせて働き方を選べることで、モチベーションが向上し、結果的に生産性の向上に繋がります。
    • また、通勤時間の削減は、従業員の負担軽減にも貢献します。
  • 優秀な人材の確保
    • 柔軟な働き方ができる企業は、求職者にとって魅力的に映ります。
    • これにより、多様な働き方を求める優秀な人材を確保しやすくなります。
  • 企業イメージの向上
    • 従業員を大切にする企業として社会的に評価され、企業イメージやブランド力の向上にも繋がります。

柔軟な働き方選択制度等支援コース|助成金の支給対象と支給額を徹底解説

この助成金は、中小企業事業主を主な対象としています。

柔軟な働き方選択制度等支援コース|助成金の支給対象となる事業主とは

具体的な要件は、以下のいずれかの基準を満たす必要があります。

業種分類資本金または出資額常時雇用する従業員数
小売業(飲食業を含む)5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
製造業、建設業、その他3億円以下300人以下

これらの要件を満たさない大企業でも、制度導入の対象となる場合がありますので、詳細は必ずご確認ください。

柔軟な働き方選択制度等支援コース|助成金の支給要件と申請条件

助成金を受給するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  1. 計画の策定・届出
    • 「育児に係る柔軟な働き方支援プラン」を策定し、対象となる従業員に周知したうえで、管轄の労働局に届け出ること。
  2. 就業規則等の整備
    • 柔軟な働き方制度(テレワーク、フレックスタイム制など)に関する規定を就業規則に明記し、労働者へ周知すること。
  3. 制度の実施
    • 実際に制度を導入し、規定に従って運用すること。
  4. 利用者の存在
    • 制度の導入後、実際にその制度を利用する従業員がいること。
    • この制度は「形だけ」の導入ではなく、実際に活用されることが求められます。
  5. 対象労働者との面談の実施・記録
    • 制度の導入にあたり、対象となる従業員と事前に面談を行い、「面談シート」に内容を記録しておく必要があります。
  6. 一般事業主行動計画の策定・届出
    • 管轄の労働局に一般事業主行動計画を届け出ていることが要件となります。
  7. 制度利用開始から6か月間の実績
    • 対象従業員が実際に制度を6か月間利用したことが確認できる記録が必要です。
    • 申請期限は、利用開始から6か月経過後の翌日から2か月以内です。

これらの要件をクリアすることで、助成金の申請が可能になります。

柔軟な働き方選択制度等支援コース|新規導入時の助成金の支給額

これまで柔軟な働き方制度を導入していなかった事業主が、新たに制度を導入し、実際に利用者が発生した場合に支給されます。

1. 基本支給額

支給額は「導入した制度の数」と「実際に利用した従業員の人数」で決まります。3類型以上の導入が受給の最低条件です。

導入制度数1人あたり支給額上限人数最大支給額
3類型以上20万円5人/年度100万円
4類型以上25万円5人/年度125万円

※2類型以下の導入では支給対象となりません。

2. 障害児等要配慮支援加算・延長加算(令和8年度新設)

基本支給額に加えて受給できる加算が2つあります。

  • 障害児等要配慮支援加算
    • 障害児または医療的ケア児を養育する労働者を対象に制度を整備した場合、1人あたり20万円を加算して支給されます。
  • 延長加算(中学校修了まで延長加算)
    • 制度の利用可能期間を中学校修了時まで延長した場合、1人あたり20万円を加算して支給されます。

※障害児・医療的ケア児を養育する労働者向けに利用期間を中学校修了時まで延長した場合は、両方の加算が適用され合計40万円となります。

柔軟な働き方選択制度等支援コース|中小企業での導入事例

実際に「柔軟な働き方選択制度等支援コース」を活用し、働き方改革に成功した企業の事例をいくつかご紹介します。

事例 Webデザイン制作会社「株式会社T」

株式会社Tは従業員数70名の中小企業です。

新型コロナウイルスの流行をきっかけにテレワークを導入しましたが、本格的な制度として整備していませんでした。

従業員から「今後もテレワークを続けたい」という要望が強く寄せられたため、助成金を活用して「テレワーク制度」を正式に導入・整備することにしました。

制度導入前
  • 従業員構成
    • 従業員70名。
  • 課題
    • 従業員の要望に応え、より働きやすい環境を整備したい。
    • 地方在住の優秀なデザイナーを雇用したいが、通勤がネックとなっていた。
制度導入と助成金の活用
  1. 就業規則の改定
    • テレワーク・時差出勤制度・短時間勤務制度の対象者、利用ルール、情報セキュリティに関する規定を明文化し、就業規則に追記しました。
  2. 制度の周知
    • 社内研修を実施し、テレワーク勤務時のコミュニケーションツールやセキュリティ対策について周知徹底しました。
  3. 助成金の申請
    • 育児に係る柔軟な働き方支援プランを策定・周知し、対象従業員と面談のうえ面談シートを作成。
    • 育児中の従業員3名がテレワーク・時差出勤制度・短時間勤務制度(3類型)を利用し始めたため、助成金を申請しました。
導入後の成果と支給された助成金額
  • 従業員の働きやすさ向上
    • 従業員は通勤時間を削減でき、時間を有効活用できるようになりました。
  • 優秀な人材の確保
    • 地方に住む経験豊富なWebデザイナーを2名採用。
    • 物理的な場所に縛られず、多様な人材を確保できる体制が構築できました。
  • 支給された助成金額
    • この事例では、3類型を新規導入し育児中の従業員3名が利用したことで、1人あたり20万円×3名=60万円の助成金が支給されました。

事例 住宅関連サービス会社「株式会社F」

株式会社Fは従業員数150名の事業主です。

育児や介護と両立しながら働く従業員が増え、特に「朝のラッシュ時間を避けたい」「子どもの学校行事に参加したい」といった声が上がっていました。

そこで、従業員一人ひとりのライフスタイルに合わせた働き方を可能にするため、助成金を活用して「フレックスタイム制」を導入しました。

制度導入前
  • 従業員構成
    • 従業員150名。
    • うち育児中の従業員が15名。
  • 課題
    • 従業員のワークライフバランスが課題。
    • 特に朝夕の時間帯に柔軟な働き方を求める声が多かった。
制度導入と助成金の活用
  1. 就業規則の改定
    • コアタイム(必ず勤務する時間帯)を10時から15時までと設定し、フレキシブルタイム(自由に勤務できる時間帯)を設ける規定を就業規則に追記しました。
  2. 制度の周知
    • 制度の目的と利用方法を全従業員に説明する会を実施し、周知を徹底しました。
  3. 助成金の申請
    • 育児に係る柔軟な働き方支援プランを策定・周知し、対象従業員と面談のうえ面談シートを作成。
    • フレックスタイム制・短時間勤務制度・テレワークの3類型を整備し、制度導入計画を労働局に届け出た後、育児中の従業員8名が利用を開始したため、助成金を申請しました。
導入後の成果と支給された助成金額
  • 従業員の満足度向上
    • 従業員は自身の都合に合わせて出勤・退勤時間を調整できるようになり、ワークライフバランスが大幅に改善。
  • 生産性の維持
    • コアタイムを設けることで、チーム内の連携を確保。
    • 個人の裁量が増えたことで、時間内に効率良く業務を終わらせようという意識が高まりました。
  • 支給された助成金額
    • この事例では、3類型を新規導入し上限の5名分、1人あたり20万円×5名=100万円の助成金が支給されました。

事例 ITソフトウェア開発会社「株式会社S」

株式会社Sは従業員数40名の中小企業で、従業員の約半数が30代の子育て世代でした。

育児休業から復帰する従業員が何人かいたものの、「フルタイムでの勤務は難しい」という声が上がっていました。

制度導入前
  • 従業員構成
    • 従業員40名。うち育児中の従業員が6名。
  • 課題
    • 育児中の従業員が「子どものお迎え時間」を理由にフルタイム勤務を続けることが難しく、離職を検討していた。
制度導入と助成金の活用
  1. 就業規則の改定
    • 育児・介護休業法で定められた期間を超えて、小学校就学前の子どもを持つ従業員全員が利用できる短時間勤務制度を新設しました。
  2. 制度の周知
    • 社内掲示板とメールで全従業員に制度の概要と利用方法を周知しました。
  3. 助成金の申請
    • 育児に係る柔軟な働き方支援プランを策定・周知し、対象従業員と面談のうえ面談シートを作成。短時間勤務制度・テレワーク・フレックスタイム制・子の養育のための休暇制度の4類型を整備し、制度導入計画を労働局に届け出ました。
    • 育児中の従業員5名が利用を開始。
    • うち1名は医療的ケアが必要なお子さんを持つ従業員だったため、障害児等要配慮支援加算および中学校修了まで加算の対象となる規定も整備し、助成金を申請しました。
利用状況
  • 利用人数
    • 5名(うち3名は育児休業からの復帰者、2名は育児中の既存従業員)
  • 具体的な勤務時間
    • 従業員A(3歳の子どもを持つ開発者)は、午前9時から午後4時までの勤務を週5日利用するなど、個々の希望に応じて柔軟に対応しました。
導入後の成果と支給された助成金額
  • 離職率の低下
    • 短時間勤務制度を利用した従業員は全員、離職することなく働き続けることができています。
  • 生産性の維持
    • 勤務時間が短くなった従業員の業務は、チーム内で分担して対応。
    • 時間的な制約があるからこそ、短時間で効率的に業務をこなす意識が社内全体で高まりました。
  • 企業イメージの向上
    • 「子育てと仕事を両立しやすい会社」として、採用活動においてもアピールポイントとなり、優秀な人材の確保につながりました。
  • 支給された助成金額
    • この事例では、4類型を新規導入し5名が利用したことで1人あたり25万円×5名=125万円、さらに障害児等要配慮支援加算20万円・中学校修了まで加算20万円が加わり、合計165万円の助成金が支給されました。

まとめ|柔軟な働き方選択制度等支援コースの活用ポイント

「柔軟な働き方選択制度等支援コース」は、5類型の中から3類型以上を導入し対象従業員が実際に利用することで、1人あたり最大25万円(4類型以上)、年度内最大125万円を受給できる助成金です。

さらに障害児等要配慮支援加算・中学校修了まで加算を合わせると、最大165万円の受給も可能です。

令和8年度からは、支援プランの策定・面談シートの作成が必須となり、手続き面での準備がこれまで以上に重要になっています。制度の導入を検討されている事業主は、早めに管轄の労働局へご相談ください。

次回予告|柔軟な働き方選択制度等支援コースの助成金申請の手順と注意点

柔軟な働き方選択制度等支援コースの助成金の申請手続きについて解説します。

  • 助成金申請の具体的な流れ
  • 必要書類と注意点
  • スムーズに申請を進めるためのポイント

次回の記事を読めば、実際に助成金を受け取るまでのプロセスが明確になります。

次回の記事は👉柔軟な働き方選択制度等支援コース|申請方法と必要書類を解説

ぜひご期待ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。ご相談の際は、以下よりお気軽にお問い合わせください。☟

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戸塚淳二
この記事を書いた人
  • 執筆者|社会保険労務士 戸塚淳二(社会保険労務士登録番号|第29240010号)
  • 日々、企業の「ヒト」と「組織」に関わる様々な課題に真摯に向き合っています。労働法の基本的な知識から、実務に役立つ労務管理の考え方や人事制度の整え方まで、専門家として確かな情報を初めての方にもわかりやすくお伝えします。

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