本記事は「2025年改正育児介護休業法シリーズ」の第42弾です。他のシリーズの記事はコチラから👉2025年育児介護休業法改正|企業がすべき対応と助成金情報
前回は、出生時両立支援コースの「男性労働者の育児休業取得」について、その目的から具体的な申請要件、手続きまでを詳しく解説しました。
前回の記事は👉出生時両立支援コース|男性労働者の育児休業取得の助成金の申請手順
今回は、もう一つの区分である「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」に焦点を当てて解説します。
さらに、2つの区分を組み合わせた助成金活用の全体フローを、時系列に沿ったロードマップとしてご紹介します。
この記事で分かること
- 「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」の制度の目的と支給要件
- プラチナくるみん認定・情報公表加算を含めると最大77万円となる仕組み
- 2つの区分を組み合わせた場合の助成金額の全体像
- 申請タイミングと年度をまたぐスケジュール管理のポイント
- 情報公表加算など、上乗せメニューの内容
男性労働者の育児休業取得率の上昇等とは|助成金の概要と対象
出生時両立支援コースは、
- 「男性労働者の育児休業取得」
- 「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」
の2つの区分で構成されています。
「男性労働者の育児休業取得」が個々の育休取得実績を評価するものであるのに対し、「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」は企業全体で男性育休取得率を向上させた取り組みを評価するものです。
男性労働者の育児休業取得率の上昇等|対象企業と支給要件
この助成金の目的は、企業全体で男性育休取得率を高め、男性が育休を取りやすい職場文化を根付かせることにあります。
支給対象となる企業は、以下の要件を満たす必要があります。
- 取得率が30ポイント以上上昇していること
- 申請年度の前年度と比較して、男性の育児休業取得率が30ポイント以上上昇していることが必要です。
- 取得率が50%以上を達成していること
- 上昇幅だけでなく、取得率そのものが50%以上に達していることも要件となります。
男性労働者の育児休業取得率の上昇等|助成金額と加算措置
令和8年度における支給額は、要件を満たした企業に対して60万円が一律支給されます。
さらに以下の加算があります。
- プラチナくるみん認定加算
- プラチナくるみん認定を受けている企業には、15万円が加算されます。
- 情報公表加算
- 女性活躍推進法に基づく情報公表を行っている企業には、2万円が加算されます。
- ただしこの加算は、「男性労働者の育児休業取得」と「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」のどちらか1回のみ加算できます。
これらをすべて適用した場合の最大支給額は77万円となります。
※本記事は、令和8年6月時点で公表されている厚生労働省資料をもとに解説しています。加算要件などの細部は、申請要領・Q&Aの最新版で必ず最終確認してください。
出生時両立支援コース|2つの区分の違い
両者の違いを明確にすることで、制度の全体像がより理解しやすくなります。
| 項目 | 男性労働者の育児休業取得 | 男性労働者の育児休業取得率の上昇等 |
|---|---|---|
| 焦点 | 個々の男性従業員の育休取得 | 企業全体の育休取得率の向上 |
| 支給額 | 1人目最大30万円、2人目・3人目各10万円 | 60万円(一律) |
| 加算 | 雇用環境整備措置で10万円加算 | プラチナくるみん認定で15万円加算 |
| 申請時期 | 育休終了後に申請 | 取得率確定後に申請 |
2つの区分を組み合わせて活用することで、企業は男性育休の取得促進から取得率の向上まで、一貫した支援を受けることができます。
男性労働者の育児休業取得率の上昇等|受給要件と申請手順
この助成金を受給するためには、定められた期間内に適切な手続きを行う必要があります。
男性労働者の育児休業取得率の上昇等|受給要件
受給要件は、先述の「対象企業と支給要件」で解説した取得率の要件です。
- 取得率が30ポイント以上上昇していること
- 取得率が50%以上を達成していること
男性労働者の育児休業取得率の上昇等|申請手続きと期限の注意点
この助成金は、1事業主につき1回限りの支給となります。申請のタイミングを慎重に検討することが重要です。
- 申請期限
- 支給要件を満たす事業年度の翌事業年度が開始してから6か月以内に申請する必要があります。
- 例:3月決算の企業の場合
- 事業年度終了:2026年3月31日
- 取得率確定:2026年3月31日
- 翌事業年度開始:2026年4月1日
- 申請期限目安:2026年4月1日~2026年9月30日
このように、取得率が確定した年度と申請を行う年度が異なるため、年度末前のスケジュール管理が重要です。
なお、令和8年度の申請要領では、「男性労働者の育児休業取得」の受給実績がなくても、「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」の申請が可能となっています。詳細は厚生労働省の令和8年度版申請要領・Q&Aで必ず最終確認してください。
男性労働者の育児休業取得率の上昇等|申請書類の確認リスト
申請に必要な書類は以下の通りです。申請前に管轄の労働局に相談することをお勧めします。
- 支給申請書(様式は年度により異なる)
- 支給要件確認申立書(【共通要領】様式第1号)
- 男性の育児休業取得率を明らかにする書類
- 一般事業主行動計画策定・変更届(様式第一号)の控え
- 就業規則の写し
- 会社の登記事項証明書(発行から3か月以内のもの)
- 助成金振込先口座の通帳の写し
- 委任状(代理人による申請の場合)
※本記事は、令和8年6月時点で公表されている厚生労働省資料をもとに解説しています。必要書類の詳細は、申請要領・Q&Aの最新版で必ず最終確認してください。
出生時両立支援コース|中小企業が2つの区分を活用するまでのロードマップ
男性の育児休業取得を促進する「出生時両立支援コース」は、中小企業にとって大きなメリットがある助成金制度です。ここでは、男性社員20名の企業を例に、2つの区分を活用した場合の具体的なフローを時系列で解説します。
ステップ1|男性労働者の育児休業取得の申請
この助成金は、男性従業員が育児休業を取得した際に個別に申請します。社員3名が育休を取得した事例をもとに整理します。
| 休取得者 | 育児休業終了日 | 申請期限 | 想定受給額 |
|---|---|---|---|
| Aさん(1人目) | 2026年5月31日 | 2026年7月31日 | 30万円 |
| Bさん(2人目) | 2026年7月10日 | 2026年9月10日 | 10万円 |
| Cさん(3人目) | 2026年9月20日 | 2026年11月20日 | 10万円 |
ステップ2|男性労働者の育児休業取得率の上昇等の申請
取得率が確定する年度末以降に申請します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 前年度(2025年度)取得率 | 33%(対象者3名中1名取得) |
| 本年度(2026年度)取得率 | 80%(対象者5名中4名取得) |
| 取得率の上昇 | 47ポイント上昇・50%以上達成 |
| 取得率確定 | 2027年3月31日以降 |
| 申請期限 | 2027年4月1日から6か月以内 |
| 想定受給額 | 60万円 |
2つの区分を合わせた受給額の目安
| 区分 | 受給額 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得 合計 | 50万円 |
| 男性労働者の育児休業取得率の上昇等 | 60万円 |
| 総合計 | 110万円 |
- 上記の110万円は情報公表加算(2万円)を含んでいません。
- 情報公表加算は2つの区分のどちらか1回のみ加算できるため、別途ご確認ください。
- 受給金額は、企業規模・取得人数・加算要件の達成状況により変動します。
- 申請前に厚生労働省の令和8年度版申請要領で最新情報をご確認ください。
まとめ|出生時両立支援コースの2つの区分を活用するために
出生時両立支援コースは、「男性労働者の育児休業取得」と「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」の2つの区分を組み合わせることで、男性育休の取得促進から取得率の向上まで、一貫した支援を受けられる制度です。
特に「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」は1事業主につき1回限りのため、申請のタイミングを慎重に検討することが重要です。
申請前に厚生労働省の令和8年度版申請要領で最新情報をご確認ください。
ぜひこの制度を有効活用し、従業員にとっても企業にとってもメリットのある職場づくりを進めていきましょう。
次回予告|「柔軟な働き方選択制度等支援コース」を詳しく解説
さて次回は、同じく働き方改革を支援する助成金である「柔軟な働き方選択制度等支援コース」について解説します。
次回の記事は👉両立支援等助成金|柔軟な働き方選択制度【令和8年度版】
テレワークや時差出勤などの柔軟な働き方を導入・実施する際に活用できる助成金であり、多様な働き方を推進したい企業にとって非常に有益な情報です。
ご期待ください。
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- 執筆者|社会保険労務士 戸塚淳二(社会保険労務士登録番号|第29240010号)
- 日々、企業の「ヒト」と「組織」に関わる様々な課題に真摯に向き合っています。労働法の基本的な知識から、実務に役立つ労務管理の考え方や人事制度の整え方まで、専門家として確かな情報を初めての方にもわかりやすくお伝えします。

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