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外国人雇用の労務管理【第1話】|過去最多の外国人労働者、中小企業は何を確認すべきか

中小企業に求められる外国人労働者労務管理 労務の基礎知識
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部署によっては、日本人より外国人のほうが多い。

社労士として開業しながら会社員としても勤務している中央卸売市場で、そんな光景が当たり前になってきました。

日本で働く外国人労働者は、過去最多を更新し続けています。

人手不足を背景に外国人労働者を雇用する企業が増える一方、外国人雇用では、労働条件の明示や社会保険・労働保険、労働時間、コミュニケーションなど、適切な労務管理が欠かせません。

本シリーズでは3回にわたり、外国人雇用について解説します。

第1話では外国人労働者の増加と中小企業の労務管理、第2話では2027年4月から始まる「育成就労制度」、第3話では外国人を採用した後に必要となる具体的な労務管理を取り上げます。

外国人労働者が過去最多|中小企業にも広がる外国人雇用

厚生労働省が2026年1月30日に公表した「外国人雇用状況」の届出状況によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は257万1,037人となりました。

前年の230万2,587人から26万8,450人、11.7%増加しています。

また、外国人を雇用する事業所も37万1,215所となり、前年から2万9,128所、8.5%増加しました。

外国人労働者数、外国人を雇用する事業所数のいずれも、過去最多です。

外国人を雇用する事業所を規模別にみると、「30人未満」の事業所が最も多く、事業所数全体の63.1%を占めています。

働く人の数でみても、外国人労働者全体の36.1%、約3分の1を超える人が30人未満の事業所で働いています。外国人雇用は、大企業だけでなく、小規模な事業所にも広がっていることが分かります。

※ここで紹介した数字は、事業主から届出があった外国人労働者・事業所の数です。特別永住者と、在留資格「外交」「公用」の方は含まれていません。

こうした増加は、統計の数字だけではなく、身近な場面でも目にする機会が増えています。飲食店でもコンビニでも、外国人が働く姿は当たり前の風景になりました。

こうした増加は、身近な場面にも表れています。飲食店でもコンビニでも、外国人が働く姿は当たり前の風景になりました。統計の数字は、私の職場の変化としても実感しているところです。

では、外国人を雇用する会社が増える中で、会社の労務管理にはどのようなことが求められるのでしょうか。

外国人を雇用する会社に求められる労務管理

外国人を雇用する場合も、基本的な労務管理は日本人従業員と変わりません。

会社として、次の事項を適切に行うことが必要です。

労働条件の明示

賃金、労働時間、休日などの労働条件を適切に明示します。

外国人雇用では、相手が内容を理解できるよう、書面に加えて、やさしい日本語や母国語を使うなど伝え方を工夫することが求められます(外国人雇用管理指針)。

賃金・労働時間等の管理

最低賃金、労働時間、休憩、休日、時間外労働、年次有給休暇などを適切に管理します。

社会保険・労働保険の手続き

加入要件を満たす場合は、健康保険・厚生年金保険、労災保険・雇用保険の手続きを行います。

安全衛生・ハラスメント対策

安全に働ける環境を整えるとともに、外国人であることを理由とした差別やハラスメントを防止します。

国籍を理由とした賃金・労働条件の差別は、労働基準法3条で禁止されています。

外国人を雇う会社が確認すべき4つのポイント|在留資格・就労時間・届出

外国人を雇用する場合、日本人と同じ労務管理に加えて、外国人ならではの確認事項があります。

在留資格と仕事内容を確認する

まず確認したいのが、在留資格です。

外国人は、在留資格によって日本で認められている活動が異なります。

そのため、採用する仕事がその在留資格で認められているかを確認する必要があります。

確認は、在留カードの原本で行います。在留資格や就労制限の有無、在留期間の満了日を、その場で照合してください。

出入国在留管理庁は、在留カード等読取アプリケーションと失効情報照会を併せて使うと、偽変造の有無や有効性を簡単に確認でき、不法就労防止に効果的だとしています。

確認の際は、こうしたツールの活用もおすすめです。

確認を怠るとどうなる?|不法就労助長罪

在留資格で認められていない仕事をさせたり、在留期間が切れた後も働かせたりすると、事業主が「不法就労助長罪」(入管法第73条の2)に問われるおそれがあります。

現行の罰則は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科です。

なお、令和9年(2027年)4月1日以降は、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金に引き上げられます。

「知らなかった」だけでは処罰を免れません。

在留カードの確認など、必要な確認を尽くしていない場合は、過失があるとされるおそれがあります。

就労できる時間を確認する

留学や家族滞在などの在留資格では、資格外活動の許可がなければ原則として働けません。

許可を受けた場合も、原則として週28時間以内という制限があります。この時間は複数の勤務先の合計で数えるため、他の勤務先での就労時間もあわせて把握する必要があります。

そのため、労働契約上の勤務時間だけでなく、その外国人が在留資格上、何時間まで働くことができるのかを確認しておきましょう。

外国人雇用状況の届出を行う

外国人を雇い入れたとき・離職したときは、「外国人雇用状況の届出」が必要です。雇用保険の被保険者になる人は、雇用保険の資格取得届・喪失届で届け出ます。

被保険者にならない人は、ハローワークへ届け出ます。採用時だけでなく、退職時にも忘れずに手続きを行います。

届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりすると、30万円以下の罰金の対象となります。

在留資格・在留期間を継続して確認する

在留期間の更新が必要になる場合もあります。満了日を台帳などで管理し、更新手続きが間に合うよう、会社として把握しておきましょう。

外国人雇用で会社が確認したいポイントは、次の4つです。

  • 在留カードの原本で、在留資格と仕事内容が合っているか確認しているか
  • 在留期間の満了日を把握しているか
  • 就労時間の制限を確認しているか
  • 外国人雇用状況の届出を行っているか

日本人と同じ労務管理に加えて、「この外国人は、どのような仕事を、どのくらいの時間までできるのか」を確認すること。これが、外国人を雇用する会社の基本です。

外国人を雇用する企業は、実際に何に困っているのか

2026年8月31日に厚生労働省が公表した「令和7年外国人雇用実態調査」(雇用保険被保険者5人以上の事業所が対象、複数回答)では、外国人を雇用する事業所が感じている課題として、次のようなものが挙げられています。

コミュニケーションの問題

外国人労働者の日本語能力に関するコミュニケーションの難しさを課題として挙げた事業所は46.2%でした。

仕事の指示だけでなく、安全教育や職場のルールをどのように伝えるかという問題にもつながります。

在留資格に関する事務負担

在留資格の申請などに関する事務負担を課題として挙げた事業所は24.8%でした。

外国人雇用では、日本人の採用にはない在留資格に関する確認や手続きが必要になります。

文化・価値観・生活習慣の違い

文化や価値観、生活習慣の違いを課題として挙げた事業所は22.4%でした。

会社側が当然だと思っていることが、外国人労働者には十分に伝わらないこともあります。

生活環境の整備にかかるコスト

21.9%の事業所が、生活環境の整備にコストがかかることを課題に挙げました。

この調査からも、外国人雇用は「採用して人手不足を解消すれば終わり」というものではないことが分かります。

雇用した後のコミュニケーションや手続き、文化の違いなどにも、会社として対応していく必要があります。

中小企業が外国人雇用で意識したいこと

こうした課題を、「外国人だから仕方がない」と放置しないことが大切です。

  • コミュニケーションがうまくいかなければ、どうすれば伝わるのかを考える。
  • 文化や価値観の違いがあれば、お互いに理解できる環境をつくる。
  • 在留資格などの手続きについても、会社として適切に管理する。

こうした取り組みが、外国人が安心して働ける職場につながります。

一方で、人手不足が続くと、「辞めても、また採用すればいい」という考えに傾いてしまうことがあります。

しかし、こうした考え方は、外国人労働者を「使い捨て」のように扱う雇用につながりかねません。

とはいえ、職場のルールが守られない場面は、国籍に関係なく起こり得ます。大切なのは、会社のルールや求める仕事の水準を、相手が理解できる言葉で伝え、守れなかった場合の対応も含めて事前に明確にしておくことです。

採用で見るのは国籍ではなく、在留資格、スキル、働く意欲です。

そして、採用した後は、その人が長く安心して働ける環境をつくる。

外国人であっても、一人の労働者であることに変わりはありません。

外国人雇用では「採用」だけでなく、「定着」まで考えることが重要です。

外国人雇用に伴う労働条件の明示や社会保険の手続き、労働時間の管理など、企業の労務管理についてお悩みの経営者・担当者の方は、お気軽にご相談ください。👉 労務相談についてはこちら

これから外国人雇用はどう変わるのか

日本で働く外国人労働者が増える中、外国人雇用を取り巻く制度も変わっていきます。

その大きな変更の一つが、2027年4月1日から始まる育成就労制度です。

育成就労制度は、現在の技能実習制度を発展的に解消し、人材育成と人材確保を目的として新たに設けられる制度です。

これから外国人を受け入れる企業は、現在の労務管理だけでなく、外国人雇用を取り巻く制度がどのように変わっていくのかについても、把握しておく必要があります。

まとめ|外国人雇用は「採用」から「定着」へ

外国人労働者も、外国人を雇用する企業も、過去最多を更新しています。

外国人を雇用する場合も、日本人と同じように適切な労務管理が必要です。

さらに、在留資格やコミュニケーションなど、外国人雇用ならではの課題にも対応していかなければなりません。

そして、外国人を単なる「人手」としてではなく、一人の従業員として受け入れ、「採用」から「定着」までを考えることが重要です。

今日からできる3つの確認

  • 在留カードの原本で、在留資格・就労制限・期限を確認する
  • 資格外活動の人は、他の勤務先を含めた就労時間を確認する
  • 労働条件は、相手が理解できる言葉で説明する

次回予告|2027年4月から始まる「育成就労制度」とは?

これまでの技能実習制度から何が変わるのか。

外国人を受け入れる企業には、どのような対応が求められるのか。

そして、中小企業の外国人雇用や労務管理には、どのような影響があるのでしょうか。

次回は、会社側の労務管理という視点から、育成就労制度を詳しく解説します。

戸塚淳二
この記事を書いた人
  • 執筆者|社会保険労務士 戸塚淳二(社会保険労務士登録番号|第29240010号)
  • 日々、企業の「ヒト」と「組織」に関わる様々な課題に真摯に向き合っています。労働法の基本的な知識から、実務に役立つ労務管理の考え方や人事制度の整え方まで、専門家として確かな情報を初めての方にもわかりやすくお伝えします。

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