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【社労士が解説】企業のための熱中症対策 実践講座vol7 中小企業でもできる!低コストで“訴えられない”熱中症対策 前編

企業のための熱中症対策 実践講座vol7 労務の基礎知識
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夏の過酷な暑さが年々厳しくなる中、熱中症は従業員の健康だけでなく、企業の経営にとっても無視できないリスクとなっています。

前回、「熱中症は労災?企業に求められる安全配慮義務と判例リスク」の記事で、企業が負う安全配慮義務、そして熱中症が労災認定された場合の損害賠償リスクについて解説しました。

前回の記事は👉【社労士が解説】企業のための熱中症対策 実践講座vol6 万が一発症したら?──熱中症と労災認定・企業責任の境界線

もし事故が起きてしまえば、企業の社会的信用を大きく損ない、経済的にも大きな打撃を受ける可能性があることをお伝えした通りです。

特に、コストや人手不足といった課題を抱える中小企業にとって、「十分な熱中症対策を講じるのは難しい」と感じるかもしれません。

しかし、従業員が熱中症で倒れ、「もっと対策してくれていれば…」と訴えられてしまう事態は、何としても避けたいもの。

ご安心ください。

本記事では、多額の費用や専門知識がなくても、安価かつ効果的に熱中症対策を実施し、結果的に法的リスクを低減するための具体的な方法を、社労士である私の視点から分かりやすく解説していきます。

「訴えられない」企業になるために、今すぐできる熱中症対策のヒントを、ぜひ見つけてください。

安価に始めるWBGT(暑さ指数)測定方法 数値でリスクを「見える化」

熱中症対策の第一歩は、現場の暑さの状況を客観的な数値で把握することです。

そこで重要なのが「WBGT(湿球黒球温度:シッキュウコッキュウオンド)」の測定です。

WBGTとは? 熱中症リスクの「ものさし」

WBGTとは、熱中症の危険度を示す国際的な指標です。

単に気温だけでなく、湿度、日差しや地面からの照り返し(輻射熱)など、人間が感じる暑さの総合的な影響を評価できます。

環境省や日本生気象学会が発表している「熱中症予防情報」や「日常生活における熱中症予防指針」では、このWBGT値に応じた具体的な行動基準が示されています。

たとえば、WBGTが「厳重警戒」レベルに達したら、運動は原則中止する、といったように、具体的な対策を講じるための明確な「ものさし」となるのです。

湿球黒球温度に関する詳しい記事は👉【社労士が解説】企業のための熱中症対策 実践講座vol3 職場の熱中症対策 WBGT測定から休憩ルールまで実務チェック

市販のWBGT測定器を活用する

「専門的な機器が必要なのでは?」とご心配かもしれませんが、実は数千円から手に入る携帯型のWBGT測定器が市販されています。

たとえば、タニタというメーカーから、手軽に使えるWBGT計が販売されており、インターネット通販などでも購入可能です。

これらの機器を使えば、現場のWBGT値をリアルタイムで把握し、適切な休憩や水分補給のタイミングを判断できます。

WBGT測定器を選ぶ際のポイント

  • 測定精度
    • 信頼できるメーカーの製品を選びましょう。
  • 表示の見やすさ
    • 数値が大きく、一目で確認できるものがおすすめです。
  • 携帯性
    • 作業現場を移動する場合、持ち運びやすい軽量なものが便利です。
  • 電源
    • 電池式か充電式か、連続使用時間などを確認しましょう。
  • アラート機能
    • WBGT値が危険レベルに達した際に音や光で知らせてくれる機能があると、より安心です。

設置場所・測定時間・測定頻度の留意点

  • 設置場所
    • 作業が行われる場所や、最も暑くなる場所に設置します。
    • 直射日光が当たる場所や、風通しが悪すぎる場所は避けてください。
  • 測定時間
    • 作業開始前、休憩時、作業中など、定期的に測定しましょう。
    • 特にWBGT値が高くなりがちな時間帯(午後の早い時間など)は、より頻繁に測定することが重要です。
  • 測定頻度
    • 少なくとも1時間に1回は測定し、WBGT値の変動に注意を払うことが推奨されます。急な暑さの変化にも対応できるよう、柔軟に頻度を調整しましょう。

👇お勧めのWBGT計測器です。

WBGT測定器 熱中症指数計 デジタル熱中症計 黒球式熱中症指数計 TT-562ST-N JIS準拠品 サンコーテクノ (タニタ TT-562NGD 同等品)

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コンパクトで軽量な設計 サイズ:約58×36×108mm、重量:約65g(電池、吊り下げ用アタッチメント、カラビナ含む)で、持ち運びやすい。

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高価な設備投資は不要です。まずは手軽なWBGT測定器を導入し、数値に基づいたリスク管理を始めることで、従業員の安全を守る第一歩を踏み出しましょう。

スマートフォンで熱中症リスクを予測・受信する

現場でのWBGT実測値の把握は重要ですが、広範囲のWBGT予測値や熱中症警戒アラートなどの情報を手軽に受け取るには、スマートフォンを活用する方法も有効です。

環境省は直接的な単独アプリを提供していませんが、熱中症予防に関する重要な情報をスマートフォンで受け取る手段として、以下の二つを推奨しています。

  • 環境省LINE公式アカウントの活用
    • 環境省のLINE公式アカウントを「友だち追加」することで、熱中症特別警戒アラートや熱中症警戒アラートの発表、暑さ指数(WBGT)の情報をLINEで受け取ることができます。
    • 居住地や職場がある都道府県を設定すれば、その地域の情報が通知されるため、手軽に広域の予測情報を得られます。
  • MAFFアプリ(農林水産省アプリ)との連携
    • 農林水産省が提供する「MAFFアプリ」にも、環境省の熱中症警戒アラート等の通知機能が搭載されています。
    • このアプリをダウンロードし、プッシュ通知機能をオンにすることで、熱中症に関する重要なアラートをタイムリーに受け取ることが可能です。

アプリ・LINE活用のメリットと注意点

これらのツールを活用する最大のメリットは、その手軽さと情報伝達の迅速性にあります。

専用の機器がなくても、普段使いのスマホ一つでWBGTの予測値やアラートを確認できるため、従業員一人ひとりが自分のいる場所や、これから作業する地域の予測リスクを把握しやすくなります。

しかし、これらの情報源で得られるWBGT値は、あくまでも予測値であるという点に注意が必要です。

実際の作業現場の環境(日当たり、風通し、輻射熱、作業内容など)は、一般的な気象データとは異なる場合が多く、予測値と現場の実測値には差が生じることがあります。

そのため、アプリやLINEの情報はあくまで補助的なツールとして活用し、必ず現場に設置したWBGT測定器による実測値と併用することが極めて重要です。

予測で大まかなリスクを把握しつつ、作業現場ではWBGT測定器で正確な数値を把握することで、より確実で実効性のある熱中症対策を講じることができます。

安価なWBGT測定器と、スマートフォンを活用した情報受信を組み合わせることで、低コストで効果的な熱中症リスクの「見える化」を実現し、従業員の安全確保に役立てましょう。

暑熱リスク対応の社内マニュアル作成例 誰でも分かる「行動基準」の明確化

WBGT測定器やアプリで暑さのリスクを「見える化」できるようになれば、次のステップは、その数値に基づいて従業員が具体的にどう行動すべきかを明確にすることです。

そのためには、社内マニュアルの作成が不可欠となります。

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なぜ熱中症対策マニュアルが必要なのか?

「うちの会社は小規模だから…」と思われるかもしれませんが、マニュアルは企業の規模に関わらず、非常に重要な役割を果たします。

  • 対策の標準化と周知徹底
    • 誰が見ても同じように熱中症対策を行えるよう、具体的な行動を統一できます。
    • また、従業員全員に周知することで、意識の向上にもつながります。
  • 緊急時の対応フロー明確化
    • 万が一、熱中症が発生した場合に、「誰が、何を、いつ、どうするのか」が明確になります。
    • これにより、迅速かつ適切な初期対応が可能となり、重症化を防ぐことができます。
  • 安全配慮義務を果たしている証拠
    • 企業が従業員の安全を守るために、どのような対策を講じているかを具体的に示す文書となります。
    • もし労災や訴訟などのトラブルが発生した場合に、企業が安全配慮義務を怠っていないことを証明する重要な証拠となり得ます。

マニュアルに含めるべき具体的な項目

では、実際にどのような内容をマニュアルに盛り込むべきでしょうか。

現場で本当に役立つマニュアルにするためには、以下の項目を具体的に記載しましょう。

  • WBGT値に応じた行動基準
    • 「WBGTが28℃を超えたら、屋外作業は原則中止し、室内で休憩」
    • 「WBGTが31℃を超えたら、作業を中断し、全員で〇分間の休憩を取る」
    • など、WBGTの数値と連動した具体的な作業制限、休憩、水分補給のルールを明記します。
  • 休憩場所・休憩時間の確保方法
    • 「休憩は日陰や空調の効いた室内で行う」
    • 「休憩時間は〇分間以上確保する」
    • といった具体的な指示を入れます。

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  • 塩分・水分補給の推奨
    • 「1時間ごとにコップ1杯(200ml程度)の水を飲む」
    • 「スポーツドリンクや経口補水液、塩飴などを積極的に摂る」
    • といった推奨内容と、具体的な飲み物や摂取タイミングを例示します。
  • 服装規定の見直し
    • 「通気性の良い服装を心がける」
    • 「帽子やヘルメット着用時は遮熱対策を施す」
    • といった、熱をこもらせないための服装ルールを設けます。

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  • 体調不良者発生時の対応フロー
    • 「異常を発見した際の声かけ
    • 「すぐに責任者や緊急連絡先(誰の、どの連絡先か)への報告
    • 「涼しい場所への移動、体を冷やす、意識確認などの応急処置
    • 「意識がない場合や症状が重い場合の医療機関への搬送基準
    • を、段階的に具体的に記述します。
  • 緊急連絡網
    • 社内の緊急連絡先(責任者、安全衛生担当など)や、緊急時に連絡すべき外部機関(病院、消防など)の連絡先をまとめて記載します。

誰でも使えるマニュアルにするための作成ポイント

せっかくマニュアルを作成しても、読みにくかったり、分かりにくかったりすると、現場で活用されません。以下の点を意識して作成しましょう。

  • 専門用語を避け、分かりやすい言葉で記載
    • 専門知識がない従業員でも理解できるよう、平易な言葉を選びましょう。
    • 「WBGT」の説明も簡潔にし、具体的な行動に焦点を当てます。
  • 図やイラスト、チェックリストなどを活用
    • 文字ばかりでは読みにくいため、WBGT値に応じた行動基準をフローチャートで示したり、水分補給のチェックリストを設けたりすると、視覚的に理解しやすくなります。
  • 現場の状況に合わせた具体的な内容
    • オフィスの社員と屋外作業の社員ではリスクが異なります。
    • それぞれの作業環境や業務内容に合わせて、具体的な対策を落とし込みましょう。
  • 定期的な見直しと更新
    • 熱中症の知識や対策は日々進化します。
    • また、社内の体制や業務内容が変わることもあります。
    • 年に一度はマニュアルを見直し、最新の情報や現場の実態に合わせて更新していくことが重要です。

マニュアルは、企業の安全配慮義務を果たすだけでなく、従業員が安心して働ける環境を築くための強力なツールです。

低コストでできる効果的な熱中症対策として、ぜひ自社に合ったマニュアルを作成しましょう。

就業規則でルール化することでリスク回避 法的裏付けの強化

熱中症対策をマニュアルとして作成するだけでなく、さらに一歩進んで企業の「就業規則」に明記することは、その対策に法的裏付けを与え、リスクを大幅に回避する上で極めて重要です。

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就業規則に熱中症対策を明記するメリット

なぜ、わざわざ就業規則に熱中症対策を盛り込む必要があるのでしょうか。

そこには、以下の大きなメリットがあります。

1. 法的拘束力を持たせることで、従業員の協力を促す

  • 就業規則は、労働基準法に基づき作成される、会社と従業員間の労働条件や服務規律を定めたルールブックです。
  • ここに熱中症対策を明記することで、従業員に対して「これは会社の正式なルールであり、守るべき義務である」という法的拘束力を持たせることができます。
  • これにより、水分・塩分補給の徹底や体調不良時の報告など、従業員自身の協力が不可欠な対策を円滑に進めることができます。

2. 企業が安全配慮義務を履行していることを明確に示す

  • 労働契約法第5条により、企業は従業員が安全に働けるよう配慮する「安全配慮義務」を負っています。
  • 熱中症対策を就業規則に具体的に記載し、周知徹底することは、企業がこの義務を積極的に果たしていることの強力な証拠となります。
  • 万が一、熱中症事故が発生した場合でも、企業としての予防策を講じていたことを示す客観的な証拠として機能します。

3. トラブル発生時の対応基準となる

  • 熱中症は予期せぬ場所やタイミングで発生する可能性があります。
  • 就業規則に対策や対応フローが明記されていれば、緊急時にも従業員や管理者が規則に則って冷静かつ迅速に行動できます。
  • また、労災申請や損害賠償といったトラブルに発展した場合の判断基準としても機能し、無用な混乱や紛争を未然に防ぐことにもつながります。

就業規則に記載すべき内容例

では、具体的に就業規則のどこに、どのような内容を盛り込めばよいのでしょうか。

既存の安全衛生に関する章に追加するか、新たに「熱中症予防に関する規程」として独立させることも考えられます。

(目的)

第〇条 会社は、夏季における作業環境を安全かつ快適に保ち、従業員の熱中症を予防するため、本規程を定める。従業員は、本規程を遵守し、会社が講ずる熱中症予防対策に協力しなければならない。

(WBGT値の測定と行動基準)

第〇条 会社は、熱中症の危険度を客観的に判断するため、WBGT(湿球黒球温度)測定器等を用い、作業環境のWBGT値を定期的に測定する。

2 会社は、WBGT値及び作業内容に応じ、作業の中止・制限、休憩の指示、水分・塩分補給の徹底等、適切な予防措置を講じるものとし、従業員はこれに従わなければならない。

(休憩、水分・塩分補給)

第〇条 会社は、WBGT値や作業負荷に応じ、適切な休憩時間及び場所を確保する。

2 従業員は、のどが渇く前に水分・塩分をこまめに補給するよう努めるものとする。会社は、水分・塩分補給のための飲料等を可能な範囲で提供する。

(従業員の義務と報告)

第〇条 従業員は、各自の健康状態を適切に管理し、睡眠を十分に取るなど熱中症予防に努めなければならない。

2 従業員は、作業に際して通気性の良い服装を着用し、必要に応じて帽子等を着用しなければならない。

3 従業員は、作業中に熱中症の兆候や体調不良を感じた場合、速やかに上長に報告し、その指示に従わなければならない。また、他の従業員の体調異変を発見した場合も、同様に報告しなければならない。

(就業制限等)

第〇条 会社は、医師の診断や従業員の健康状態を総合的に判断し、熱中症のリスクが高いと判断した従業員に対し、作業内容の変更、就業場所の変更、一時的な就業制限等の措置を講じることがある。

就業規則変更の重要な手続き

就業規則に熱中症対策を盛り込む場合、または既存の就業規則を改定する場合は、以下の手続きを必ず行う必要があります。

  1. 労働者代表の意見聴取
    • 働基準法に基づき、就業規則の変更に際しては、従業員の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、ない場合は従業員の過半数を代表する者の意見を聴取しなければなりません。
    • 意見はあくまで「聴取」であり、合意は必須ではありませんが、意見を述べた書面を添付して届け出る必要があります。
  2. 労働基準監督署への届出
    • 変更後の就業規則(または変更部分のみを記した書面)に、労働者代表の意見書を添付し、所轄の労働基準監督署長へ届け出る必要があります。
  3. 従業員への周知方法
    • 就業規則は、作成または変更しただけでは効力を持ちません。
    • 労働者へ周知されることで初めて効力が発生します。具体的な周知方法としては、以下のいずれかの方法が義務付けられています。
      • 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける。
      • 書面を交付する。
      • 磁気ディスク、CD-ROMその他の電磁的記録に記録し、かつ、各作業場に備え付けられたパソコン等で労働者がその記録を常時確認できるような措置を講じる。

就業規則に熱中症対策を明記することは、単なる形式的な作業ではありません。

従業員の安全を守るための企業の強い意思を示すとともに、万が一の事態に備えるための重要な法的防御策となります。

中小企業であっても、労務リスク管理の観点から、このルール化を積極的に検討しましょう。

まとめ 低コストで始める「訴えられない」熱中症対策

今回は、中小企業でも実践できる熱中症対策の基本として、WBGT測定によるリスクの「見える化」、そして社内マニュアルや就業規則による「ルール化」の重要性とその具体的な進め方をお伝えしました。

これらは、多額のコストをかけずとも、従業員の安全を守り、万が一の事態に「訴えられない」企業となるための土台を築く上で非常に効果的です。

しかし、ルールや体制を整えるだけでは十分ではありません。

実際に従業員一人ひとりが熱中症リスクを理解し、適切に行動できるようになるための「人」への対策、そして、利用できる外部支援を賢く活用することもまた重要です。

次回予告 実践と活用で熱中症対策をさらに強化

次回は、以下の点に焦点を当てて解説していきます。

  • 教育・訓練の内製化
    • 小規模な会社でもできる、従業員の熱中症予防意識を高めるための具体的な教育方法や訓練の進め方。
  • 助成金の有無と活用法
    • 熱中症対策に直接的・間接的に活用できる助成金や補助金の情報、そして専門家への相談先をご紹介します。

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次回の記事も、中小企業の皆さんが安心して夏を乗り切るための実践的なヒントを詰め込んでお届けしますので、どうぞお楽しみに!

最後までお読みいただきありがとうございました。ご相談の際は、以下よりお気軽にお問い合わせください。☟

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