退職する意思を会社に伝えたのに、「退職は認めない」「後任が決まるまで辞めないでほしい」と言われたら、どう対応すればよいのでしょうか。
会社にも人員不足や業務の引き継ぎなどの事情があるかもしれません。しかし、会社の都合だけで退職時期をいつまでも先延ばしにされると、転職先への入社や今後の生活にも影響が出てしまいます。
大切なのは、会社と感情的に対立するのではなく、自分の退職希望日を明確に伝え、引き継ぎの進め方などを具体的に話し合うことです。
今回は、会社から退職を引き止められたときの具体的な対応方法を、3つのQ&Aで解説します。
Q1. 会社から退職を拒否されたら?
退職したいと伝えたのに、会社から「退職は認めない」「辞めることはできない」と言われました。どう対応すればよいのでしょうか。
結論から言うと、無期雇用の場合、会社が退職を認めないと言っても、それだけで退職できなくなるわけではありません。
ただし、有期雇用の場合は、契約期間の途中で自由に辞められないなど、退職できる時期は雇用契約の種類や退職の申し出に関するルールによって異なります。
退職は何日前に伝えればよいのか、民法と就業規則のどちらが優先されるのか、有期雇用契約の途中で退職できるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。👉退職は2週間前?就業規則の1か月前?民法との関係を社労士が解説
会社から退職を拒否された場合は、何度も説得を続けるのではなく、退職の意思と希望日を明確に伝えましょう。
例えば、次のように伝える方法があります。
「退職の意思は変わりません。退職希望日は○月○日です。退職日までに必要な引き継ぎを進めますので、手続きについてご確認をお願いします。」
それでも話が進まない場合は、退職届などの書面で意思を伝え、提出した記録を残すことも検討しましょう。
Q2. 「後任が決まるまで辞めないで」と言われたら?
退職を申し出たところ、会社から「後任が決まるまで辞めないでほしい」と言われました。どのように対応すればよいのでしょうか。
結論から言うと、会社の事情に配慮することは大切ですが、後任が決まるまで退職を無期限に先延ばしにする必要はありません。
転職先の入社日が決まっているなど、退職日を変更できない事情がある場合は、退職希望日を明確に伝え、その日までにできる引き継ぎを進める姿勢を示しましょう。
例えば、次のように伝えます。
「人員が不足していることは理解しています。退職日までは責任を持って引き継ぎを進めますが、次の予定も決まっているため、○月○日の退職でお願いします。」
それでも「後任が決まるまで待ってほしい」と繰り返された場合は、後任の採用を待つかどうかの議論を続けるのではなく、引き継ぎの具体的な内容に話を切り替えます。
「後任の方が決まるまで在籍することは難しいですが、引き継ぎ資料の作成や業務内容の説明には対応します。退職日までに必要な引き継ぎ事項を整理しましょう。」
一方、退職時期に余裕がある場合は、会社の状況を踏まえて、退職日を一定期間調整することも選択肢です。
ただし、その場合も「後任が決まるまで」ではなく、いつまでなら調整できるのか、具体的な日付を決めておきましょう。
書面で伝える方法は、Q1も参考にしてください。
会社への協力姿勢を示すことと、退職日を会社の都合に委ねることは別です。
退職日を明確にし、残された期間でできる対応を具体的に提案することが、無用な対立を避けながら退職を進めるポイントです。
Q3. 退職届を受け取ってもらえない場合は?
退職届を提出しようとしたら、会社から受け取りを拒否されました。どうすればよいのでしょうか。
結論から言うと、会社が退職届を受け取らない場合は、退職の意思を記録に残る方法で伝えることを検討しましょう。会社に直接提出することだけにこだわる必要はありません。
退職届を受け取ってもらえないからといって、突然会社に行かなくなる、いわゆる「飛ぶ」という方法はおすすめできません。無断欠勤として扱われたり、退職日や貸与品の返却などをめぐって会社とトラブルになったりする可能性があるためです。
転職先が決まっている場合、前職との退職手続きがこじれると、次の仕事を始める際にも余計な不安や負担を抱えかねません。安心して次の職場で働き始めるためにも、退職の意思を明確に伝え、手続きを進めることが大切です。
具体的な方法として、内容証明郵便を利用する選択肢があります。
内容証明郵便は、差し出した文書の内容や差出人・宛先などを郵便局に証明してもらうものです。相手に配達されたことも記録に残したい場合は、配達証明を併用できます。
それでも会社との直接のやり取りが難しい場合は、退職代行の利用も検討できます。
ただし、運営主体によって対応できる範囲は異なります。
弁護士や労働組合が運営するものは会社との交渉にも対応できますが、民間企業が運営するものは、原則として本人の意思を伝えることにとどまります。
法的なトラブルや複雑な交渉がある場合は、弁護士への相談も選択肢です。
費用をかけずに相談したい場合は、労働局や労働基準監督署などに設置された総合労働相談コーナーも利用できます。
なお、内容証明郵便を送れば、どのような場合でも退職が確定するわけではありません。雇用契約の種類や退職の申し出の内容などによって扱いが異なります。
記録に残る方法で退職の意思を伝え、必要に応じて第三者の力も借りながら、次の仕事に支障が出ないよう手続きを進めましょう。
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まとめ|退職を引き止められたら、意思と退職日を明確に伝えよう
会社から退職を引き止められた場合は、会社の事情にも配慮しながら、自分の退職希望日を明確に伝えることが大切です。
後任が決まるまで退職を待ってほしいと言われても、無期限に先延ばしにする約束をする必要はありません。
また、退職届を受け取ってもらえないからといって、突然会社に行かなくなるのではなく、内容証明郵便や退職代行などの選択肢も検討しましょう。
大切なのは、感情的に対立したり、連絡を絶ったりするのではなく、退職の意思を記録に残しながら、必要な手続きを進めることです。
円滑に退職し、次の仕事へ安心して進めるよう、状況に応じた対応を心がけましょう。

- 執筆者|社会保険労務士 戸塚淳二(社会保険労務士登録番号|29240010号)
- 会社員歴30年以上、転職5回を経験した氷河期世代の社会保険労務士です。自らが激動の時代を生き抜いたからこそ、机上の空論ではない、働く人の視点にたった情報提供をモットーとしています。あなたの働き方と権利を守るために必要な、労働法や社会保険の知識、そしてキャリア形成に役立つヒントを、あなたの日常に寄り添いながら、分かりやすく解説します。
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