資格試験の勉強法って、本当に人それぞれですよね。
「合格するための〇〇メソッド」や、「覚えにくいところは語呂合わせで!」といった情報は、私もたくさん参考にしましたし、実際に語呂がないと解けなかった問題もありました。ああいう工夫はありがたかったです。
そんな私も2年目の受験に入ってからは、勉強時間や教材の選定に加えて、12月頃からは「実際に勉強した内容・時間」を記録するようにしていました。いわば勉強の「見える化」です。でも、それだけでは不十分で──「中身」をどう充実させるか?が次の課題でした。
一般的な「勉強法」って、どうしても外側の話が多い
一般的にいう資格試験他、試験勉強の合格法というのは、どういう教材を使ってどのようなペースで勉強を進めるか、どの予備校に通うか、どの通信教材を使うか、というところに焦点がいきます。それは当然だと思いますし、その中から自分に合ったもの選択していけばいいと思います。
今回私がちょっと触れていきたいのは、もっと「内面」にフォーカスした話、社労士受験生時代に常に意識していた、勉強法というか、心がけみたいなのを書いていきたいと思います。
具体的には、私が特に重視していた2つの学習の方法・心がけ。そのうち、今回は1つ目をご紹介します。
アクティブリコールとは?
アクティブリコールという言葉は、実は私も最近知った言葉なのです。しかし、その内容は私が、大学受験の時もそうでしたが、特に今回の社労士試験では意識していた方法と全く同じ内容です。
アクティブリコール(Active Recall) は、「能動的想起」と訳されるそうですが、記憶を定着させる有効な手段です。
あなたも経験済み?「忘却との闘い」
よく「短期記憶」とか「長期記憶」とか耳にしませんか?
例えば雇用保険法を勉強しているときは、問題集で問題を解いていても調子よく解けるものです。
しかし、その後他の科目を一周して戻ってくると、ほとんど記憶に残っていない、なんてことは誰しもが通る道でしょう。
これは、当然「短期記憶」だからなのでしょう。以前もどこかで書いたと思いますが「忘却との闘い」というやつです。
よく「効率よく勉強をする」「勉強の量ではなく、質だ!」という言葉はよく聞きますが、分かったようでわからない言葉だと思いませんか?
いろんな捉え方はありますが、机に向かっていた時間だけを計測したところで、ボケっとしている時間があれば、それどーなん?となります。集中力に持続には限界があるから、こまめに休憩をとって・・・と言いたいことはよくわかります。
結局のところ一体どうすればよいのか。
それはいかに効率よく「短期記憶」を「長期記憶」に持っていくか?ということに尽きるのではないでしょうか?
記憶を定着させる「脳の筋トレ」
冒頭の部分で「中身をどう充実させるか?が次の課題」と書きました。これは要するに、「短期記憶を効率よく長期記憶に持っていく」これが中身を充実させるということになる、という結論に達するわけです。
前置きが長くなりましたが、そこで登場するのが、このアクティブリコールです。
これは簡単に言うと、単に情報を「読む」「聞く」といった受け身の学習(受動的学習) ではなく、能動的に情報を「思い出す」「引き出す」というプロセスを繰り返すことで、記憶を強化する方法です。
例えるなら、脳の筋トレのようなものです。筋肉を鍛えるために負荷をかけるように、脳も記憶を引き出す負荷をかけることで、その記憶がより強固になり、長期記憶として残りやすくなることが、認知心理学や脳科学の研究で証明されているそうです。
私が実践した「脳の筋トレ」具体例
私の場合、早朝に解いた問題や電車の中で記憶した内容を、意識的に仕事中や昼休みに思い出すようにしていました。
「この条文、あとで仕事中か昼休みに思い出してみよう」「さっきの判例、帰りがけにもう一回頭の中で再生してみよう」といった具合に、記憶の再生を前提にしながら勉強をする癖をつけます。こんな風に、記憶を「引っ張り出す」作業を意識的に組み込んでいたんです。
また休日は朝から晩まで勉強してましたが、気分転換に、5km~8kmほどのジョギングを行っていました。その時も朝から勉強したことを、走りながら思い出そうと心掛けていました。
走っているときって「しんどい、しんどい」としか考えていないので、案外気が紛れて集中できるものです。
要するに、「短期記憶として覚えたことを、その日のうちにもう一度思い出す」という行動を意識的に組み込んでいたのです。実際にその結果として、短期記憶が効率的に長期記憶へと定着していくのを感じていました。
この方法は私の中では、かなりの効果があったと思っています。これは私だけに合った、私だけに通用する勉強方法なのかな、と思っていましたが、そうではないようです。
「アクティブリコール」は科学が証明する信頼の勉強法
アクティブリコールは、誰かの個人的な経験則や感覚に基づいた学習法ではありません。これは、認知心理学の分野における長年の科学的な研究によって、その絶大な効果が繰り返し実証されてきた学習原理です。
特に、ヘンリー・L・ローディガーIII世やジェフリー・D・カープキーといった認知心理学者たちの研究が、単に情報を読み返すよりも、テスト形式で能動的に思い出すことの方が記憶の定着に遥かに優れていることを明確に示しました。
つまり、アクティブリコールは、「こうすれば記憶に残るはず」という曖昧な方法ではなく、「実際に記憶に残る」ことが科学的に裏付けられた、非常に信頼性の高い学習テクニックなのです。
他にも色々な方法があるとは思いますが、私はこの方法は最後まで心掛けてやっていました。これをやっていたから合格した、というわけではないのでしょうが、法律初心者の私にとっては、必要不可欠な方法だったと思います。
今、社労士試験だけなく、他の資格試験ににチャレンジされている、受験生のかたも参考になればと思います。
次回は、私がもう一つ大切にしていた「記憶定着の効率的な方法」についてご紹介します。
自分に合ったやり方を探している方の、ちょっとした参考になれば幸いです。

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