
執筆者:社会保険労務士 戸塚淳二
会社員歴30年以上、転職5回以上を経験し、氷河期世代として激動の時代を生き抜いてきた社会保険労務士、戸塚淳二です。私自身が様々な働き方を経験してきたからこそ、机上の空論ではない、「働く人の視点」に立った労働法や社会保険法の役立つ情報をお届けします。あなたの日常に寄り添い、働き方と権利を守るためのヒントを分かりやすく解説していきます。
社会保険労務士登録番号:第29240010号
本記事は「あなたの働く人生を守るセーフティネット!雇用保険のすべて」シリーズの第7話です。第1話は👉雇用保険とは?何のためにある?|加入メリットや目的を解説
前回の記事では、失業給付金を受け取るためのハローワークでの申請手続きについて、必要な持ち物や当日の流れを詳しく解説しました。
前回の記事は👉失業給付金の手続き完全ガイド|ハローワークへの持ち物と流れ
いよいよハローワークへ一歩踏み出そうと考えている方もいるかもしれませんね。
しかし、手続きを終えたからといって、すぐに給付金が振り込まれるわけではありません。
この申請から給付金を受け取るまでの間に、必ず「待機期間」、そして退職理由によっては「給付制限期間」という、2つの期間が存在します。
「この期間って一体なに?」「待っている間にバイトはできるの?」といった疑問や不安を感じるかもしれません。
この記事では、失業給付金をもらうまでに知っておくべき「待機期間」と「給付制限期間」とは何か?自己都合退職と会社都合退職で何が違うのか?そして期間中のアルバイトはできるのか?といった皆さんが抱える疑問に一つひとつ丁寧にお答えします。
この記事を読み終える頃には、失業給付金を受け取るまでの全体像がクリアになり、今後の生活や再就職活動の計画が立てやすくなるはずです。
失業給付金の待機期間と給付制限期間|給付までに必要な2つの期間
ハローワークでの申請手続きを終えた後、失業給付金があなたの口座に振り込まれるまでには、2つの重要な期間を経る必要があります。
それが「待機期間」と「給付制限期間」です。
この2つの期間を正しく理解することが、今後の生活や再就職活動の計画を立てる上で非常に重要になります。
失業給付金の待機期間(7日間)|給付開始までの流れ
まず、すべての退職者に共通して適用されるのが、この「待機期間」です。
これは、ハローワークで求職の申し込みをした日(離職票を提出した日)から数えて7日間を指します。
この期間は、あなたが本当に失業状態にあるかどうかを確認するために設けられています。
例えば、12月1日(月)に初めてハローワークに行き、手続きを完了させた場合、この日が待機期間の1日目となります。
12月7日(日)の時点で待機期間が満了となります。
たとえ会社都合で退職したとしても、この7日間は誰にでも発生する「空白の期間」であり、失業給付金は一切支給されません。
失業給付金の給付制限期間|自己都合退職での注意点
次に、この期間は主に自己都合退職の場合に発生するものです。
待機期間の7日間が終了した後に始まるのが、この「給付制限期間」です。この期間も給付金は支給されません。
この期間の目的は、自らの意思で退職したため、改めて就職に向けて努力する期間として位置づけられているからです。
先ほどの例(12月1日に手続き完了)でいえば、12月8日(月)から給付制限期間がスタートすることになります。
給付制限期間の具体的な期間や、自己都合退職と会社都合退職での違いについては、次の項目で詳しく見ていきましょう。
失業給付金での会社都合と自己都合の違い|給付期間や制限を解説
失業給付金がもらえるまでの期間は、退職理由が「会社都合」か「自己都合」かによって大きく異なります。
ハローワークでの判断は、以下の2つの区分に分かれます。
会社都合退職の場合|失業給付金は給付制限なし
会社の倒産や解雇など、会社側の都合で退職した場合、失業給付金を受け取る上で最も有利になります。
この場合、給付制限期間は発生しません。
また、以下の理由で退職した場合も、会社都合に近い扱いとなります。
- 特定受給資格者
- ハラスメントや過度な残業、賃金未払いなど、会社側に問題があり、やむを得ず退職した場合。
- 特定理由離職者
- 有期雇用労働者で、契約更新を希望したにもかかわらず、更新されず離職した場合。
- 自身の病気や家族の介護、配偶者の転勤など、やむを得ない個人的な事情で退職した場合。
これらの場合、ハローワークでの手続きを終え、待機期間(7日間)が満了すれば、その翌日以降から失業給付金の対象となります。
自己都合退職で給付制限あり|失業給付金を受け取るまでの期間と条件
転職やキャリアアップ、あるいは「仕事内容が合わない」「人間関係に不満がある」といった個人的な理由で退職した場合は、給付制限期間が発生します。
この期間は、待機期間(7日間)が満了した後に始まります。
【2025年4月からの改正】給付制限期間の短縮
2025年4月1日以降の離職から、自己都合退職の給付制限期間は、原則として1ヶ月に短縮されました。
ただし、以下の場合は給付制限期間が3ヶ月となります。
- 過去5年間で3回目以降の「正当な理由のない自己都合退職」である場合
給付制限期間中も失業給付金は支給されません。
給付金が振り込まれ始めるのは、この給付制限期間が満了した後となります。
補足|給付制限が解除されるケース
2025年4月の法改正により、離職前1年以内または離職後に、厚生労働大臣が定める教育訓練を受講した場合、給付制限期間が解除され、待機期間満了後すぐに給付が受けられるようになりました。
この制度は、再就職を支援する目的で設けられています。
失業給付金の待機期間・給付制限期間中のアルバイト可否と注意点
失業給付金を受け取る上で、待機期間や給付制限期間中にアルバイトをしていいのかどうかは、誰もが抱える疑問です。
期間によってルールが全く異なるため、十分に注意する必要があります。
待機期間中の失業給付金とアルバイト|就労禁止と延長ルール
待機期間は、あなたが本当に失業状態にあることを確認するための期間です。
この期間中は法律上、「就職とみなされる働き」は禁止されています。
短時間のアルバイトであっても、ハローワークの判断によっては「就職と認められる労働」とされ、待機期間が延長される可能性があります。
そのため、待機期間中に働く場合は十分に注意が必要です。
給付制限期間中の失業給付金とアルバイト|就職扱いの条件と注意点
給付制限期間中は、アルバイトをすることが可能です。
この期間は、元々給付金が支給されないため、収入を得ることで生活費の足しにすることができます。
また、この期間中のアルバイトが、給付制限期間を延長させることはありません。
しかし、以下の2つのルールに注意が必要です。
- ハローワークへの申告は必須
- アルバイトで収入を得た場合は、給付制限期間中であっても、次回のハローワーク来所時に必ず「失業認定申告書」で申告する必要があります。
- 申告を怠ると、不正受給と見なされ、厳しい罰則が科せられる可能性があります。
- 「就職」と見なされると受給資格を失う
- 給付制限期間中に、以下の2つの条件を両方満たすアルバイトを始めた場合、その仕事は「就職」と見なされ、失業給付金の受給資格そのものを失います。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上継続して雇用される見込みがある
- 給付制限期間中に、以下の2つの条件を両方満たすアルバイトを始めた場合、その仕事は「就職」と見なされ、失業給付金の受給資格そのものを失います。
この場合、給付制限期間が満了しても、給付金は一切受け取れませんので、十分に注意してください。
給付制限期間中のアルバイトは、週20時間未満に抑えるか、あるいは単発・短期の仕事にとどめることが非常に重要です。
まとめ|失業給付金の待機期間・給付制限期間とアルバイトの注意点
失業給付金の手続きを終えた後、給付金が振り込まれるまでに必ず発生する「待機期間」と、退職理由によっては生じる「給付制限期間」について、詳しく解説しました。
- 待機期間(7日間)は、どんな退職理由でも必ず発生する「空白の期間」であり、この間の就労には注意が必要です。
- 給付制限期間は、主に正当な理由のない自己都合退職の場合に適用され、待機期間が満了した後に始まります。
これらの期間を正しく理解し、計画的に過ごすことが非常に重要です。
特に、期間中のアルバイトに関しては、待機期間中は原則禁止、給付制限期間中は「就職」と見なされない範囲でのみ可能、という明確なルールがあることを忘れてはなりません。
ハローワークは、あなたの新しい一歩を力強くサポートしてくれる心強い味方です。
今回解説した情報を活用し、正しい知識を持って行動することで、不安なく再就職活動を進めることができるでしょう。
次回予告|退職理由ごとの給付区分とハローワークの判断基準
今回の記事で、失業給付金には「会社都合」と「自己都合」で大きな違いがあることをお伝えしました。
しかし、実際に退職した理由がどちらに分類されるのか、どうやって判断されるのか、不安に感じる方もいるかもしれません。
次回の記事では、今回少し触れた退職理由の詳しい区分について、さらに掘り下げて解説します。
- 「正当な理由のある自己都合退職」と「特定受給資格者」は何が違うのか?
- ハローワークが退職理由を判断する際の基準とは?
- 会社が「自己都合」と判断しても、「会社都合」に変えられるのか?
あなたの退職理由が正しく評価され、スムーズに失業給付金を受け取れるよう、次回の記事で具体的なポイントをすべてお答えします。
ご期待ください。
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