2021年12月8日から記録し始めた勉強時間は、順調に積み上がっていました。2022年2月末時点で、累計308時間44分。
これが多いのか、少ないのか。正直、自分でもよくわかりませんが、このペースでいけば8月の本試験までには1000時間に到達するのではないでしょうか。
当時の勉強スタイルは、早朝に一問一答の問題集に取り組み、通勤電車の行き帰りでテキストを読み進めるというものです。
働きながらの勉強は、手応えを感じにくいものです。進んでいるのか、足踏みしているのか…。
昨年は順調に進んでいると思い込んでいて、全くだった、という教訓もあります。そのため順調にいっているという実感はほとんどなく、ただ淡々と記録をつけていました。
ただ、この「記録をつける」という行為自体が、精神的にはかなり救いになっていました。
「前に進んでいる」と実感できなくても、「進んでいるはずだ」と思い込むことで、なんとか踏ん張れたのだと思います。
この2月、勉強に集中したい一方で、職場では驚くべき事件が勃発しました。
社長解任
TK社長がクビになる。
私は2019年10月に入社したばかりで、まだ2年4ヶ月。会社の奥深い事情までは把握してませんでした。
私の勤務先である株式会社MSは、実はオーナーが別に存在し、社長は雇われの立場。そのオーナーのWが、ある日突然、会長と社長の両方を更迭しました。
その背景には、大きく2つの問題がありました。
ひとつは、2021年10月に大口取引先であるスーパー「MY」との取引が打ち切られたこと。
もうひとつは、1年間で15名もの社員が退職したこと。
どちらも、社長や会長の経営判断ミスや社内環境の悪化が要因であり、外から見ていても明らかに「不徳の致すところ」でした。
ただ、それでも「クビになる」とまでは思っていなかったので、正直驚きました。
ちなみに、このクビになった社長こそ、かつて私に「労務管理の勉強してみないか?」と声をかけてくれた人物です。
この出来事は、私が社労士を目指すきっかけとなった人物がいなくなるという、個人的な節目でもありました。
ただ、今となっては、そのきっかけがなくなったとしても、社労士になるという目標は微塵も揺らぎませんでした。
第一の関心事「いかに勉強時間を確保するか」
しかし、この事態は決して「私には関係ない」と傍観できるものではありませんでした。昨年の10月に一つ大きな取引先を失ったことにより、会社の業績が急速に悪化しております。会長と社長がクビになるほどですから、相当な危機的状況だったわけです。
そこで次の社長に指名されたのは取締役のMです。私を主任に降格させた人です。
この株式会社MSの未曽有の危機に、営業部の強化を謳い始めます。「ヤバいやんけ」と思います。また「営業に戻らないか」という打診を受けそうだなぁと感じておりました。
特に理由という理由は無いのですが、今回はちょっと逃げられないのではないか、と本能的に感じておりました。
そして、その予感は的中し、2022年6月から私は営業部へ戻ることになりました。加工部に異動してからまだ1年も経っていない中での再異動です。
しかし、私はただ戻るだけではありませんでした。この復帰に際して、私は会社に条件を提示したました。一応会社の状況に振り回されることになるので「当然の権利や」と思って条件を出しました。
一つは、「電車通勤を認めてほしい」ということ。車通勤になってしまうと、電車内での貴重な勉強時間が失われる。これだけは絶対に避けたかったんです。
そしてもう一つは、「営業部の最前線でやるのではなく、補佐役のような立場で戻らせてほしい」ということ。これは、家に帰ってからの意味不明なサービス残業を避けるためでした。
この二つの条件を会社に認めてもらった上で、私は営業部へと復帰しました。
「売上?」──私は社労士試験に集中したい
新しく社長になったM社長は、当然、落ちた売り上げを戻していくのが至上命題になるのでしょうが、私にとってみれば最早あまり興味は無く、最悪倒産してもいいんじゃね、くらいに思ってました。
この頃は人手不足感が強く、もし倒産しても、同じ業界なら働き口はいくらでもあるだろうと、思っていました。実際に誘いの話も来ていましたしね。
ただ、その当時の最大の関心事は社労士試験にいかにして合格するか、でしたので、変に会社が変わって、環境が変わり、勉強なんてやっている暇がなくなる、といのが一番困ることでした。そういうのもあって、やはり一応社長と同じ方向を向いて仕事をやっていかないとな、とは思ってました。
異動後も業績は悪化──仲卸業の厳しい現実
この部署異動のあと、会社の業績は全くと言っていいほど上向きませんでした。良くないことに、天候不順による野菜の価格高騰などいろいろあります。この農産物を扱う仲卸業は、価格の急激な変動に弱いのです。
スーパーなどの小売店というのは、商談で決まった価格で仕入れて、決まった売価で販売するわけです。ですから、お客さんが来店してくれて、買ってくれたら、利益が出ます。
いわゆる損益分岐点売上を超える売り上げさえ上げれば、ほぼいけるでしょう。
しかし、仲卸業者は「間に立つ立場」ゆえの弱みがあります。スーパーには商談で決まった納品価格で納品する必要があるのですが、一方で仕入れ先からの仕入れ価格はその都度変動します。
例えばホウレンソウをスーパーに2週間後くらいの時期に1袋150円で納品する商談をします。
しかし、そうこうしているうちに大雨で産地のホウレンソウが水に浸かってしまい、5割ほど収穫が減少します。
そうすると、価格が300円に高騰してしまいます。そんなことも珍しくありません。
仲卸は300円でホウレンソウを買って、150円でスーパーに売らないといけない、という状況になります。大きく損をします。
ここ数年、特に夏場は線状降水帯だ、台風だ、と騒がしいのが続いていましたから、なかなか会社として利益が出ない状況が続きます。
カオスな環境の中、社労士本試験へ
どんな組織でも、新体制で再スタートを切れば、やる気に満ちた空気が生まれ、前向きな雰囲気になるものです。
しかし今回に限っては、そうした高揚感とは無縁でした。社労士試験に向けては、やはり「陸の孤島」のような加工部にいたほうが、精神的にはずっと穏やかだった──今でもそう思います。
そんな混沌とした職場環境の中で、私は8月の本試験へと向かっていくことになります。

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